食物繊維試験法の選定

食物繊維試験法の選定

食物繊維総量の定量分析法は、codex法を含めれば複数の選択肢があり、わかりにくいものになっています。ここでは国内製造の一般的な加工食品を対象に、食物繊維総量(TDF)の定量法として消費者庁所管の栄養表示基準(以下,栄養表示)に採用されている「酵素-重量法」と「酵素-HPLC法」の2種を紹介します。

酵素-重量法

レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)あるいは低分子水溶性食物繊維や難消化性オリゴ糖を含む可能性のない食品の栄養表示には本法で対応することができます。不溶性食物繊維と高分子水溶性食物繊維を分別する必要がある場合、変法において可能になります。

酵素-HPLC法

イヌリン,難消化性デキストリンなどの低分子水溶性食物繊維を含む食品やガラクトオリゴ糖などの難消化性オリゴ糖あるいは糖アルコールを食物繊維として定量する必要があれば本法で対応することができます。そのほか、きくいもやごぼう等の原材料を使用した食品を酵素-HPLC法で実施すると定量値が高くなる場合があります。

試験法の定量可否の簡易まとめ

食物繊維総量の定量法(簡易版)
試験法酵素-重量法酵素-HPLC法
不溶性食物繊維
高分子水溶性食物繊維
低分子水溶性食物繊維
難消化性オリゴ糖
糖アルコール
レジスタントスターチへの適用
RS1
RS2
RS3
RS4

RS1:豆類や未粉砕の全粒穀類のデンプンなど物理的に消化酵素が接触できないもの。
RS2:生のジャガイモ,未熟なバナナ,あるいはハイアミロースコーンなどのデンプン。
RS3:老化デンプン(一旦糊化(α化)したデンプンが再結晶化(β化)したもの)。
RS4:加工デンプン(架橋デンプンなど化学修飾されたもの)。

※一般社団法人 日本食物繊維学会 栄養表示の表示値策定における 食物繊維定量法の選定に関する提言より抜粋

参考文献

食品表示基準について(平成27年3月30日消食表第139号)
日本食品標準成分表 2015年版(七訂) 分析マニュアル(文部科学省)

食物繊維TDF定量

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