酸価は、食用油脂や油脂を含む食品の品質を評価するうえで欠かせない指標です。揚げ菓子や即席めんなど、油脂を多く含む食品では、製造後の保管中に劣化が進行します。この劣化を数値で把握できるのが酸価であり、食品衛生法でも規格基準値が定められています。
本記事では、酸価の仕組みから過酸化物価との違い、食品ごとの基準値、そして検査の依頼方法までを分かりやすく整理しました。
油脂が劣化するメカニズム
油脂の劣化には、大きく2つのプロセスがあります。
1つめは「加水分解」です。油脂中のトリグリセリドが水分や酵素の影響で分解され、遊離脂肪酸が生じます。この遊離脂肪酸の量を測定したものが酸価です。つまり酸価が高いほど、加水分解による劣化が進んでいることを意味します。
2つめは「酸化」です。空気中の酸素が油脂に反応し、過酸化物(ヒドロペルオキシド)が生成されます。この過酸化物の量を測る指標が過酸化物価(POV)です。
どちらの劣化も、食品の風味低下や健康被害の原因となります。そのため両方の指標を組み合わせて品質を判断することが重要です。脂質分析の実例紹介では、クッキーを用いた具体的な測定事例を解説しています。
過酸化物価との違いと使い分け
酸価と過酸化物価は、測定する対象が異なります。
酸価は加水分解の進行度を示します。保管中に徐々に上昇するため、長期的な品質劣化の把握に適しています。一方、過酸化物価は酸化の初期段階で上昇しますが、さらに酸化が進むと分解されて減少する特性があります。
したがって、過酸化物価だけでは劣化の全体像をつかめません。酸価と過酸化物価を併用することで、加水分解と酸化の両面から油脂の状態を正確に評価できます。
なお、油脂の酸化がさらに進行すると、アルデヒドやケトンなどの二次酸化物が生じます。これらはカルボニル価で測定が可能です。また、加工食品に含まれるトランス脂肪酸も、油脂の品質管理において注目される指標の一つです。
食品別の規格基準値まとめ
食品衛生法やJAS規格では、食品の種類ごとに酸価と過酸化物価の上限が定められています。主な基準値は以下のとおりです。
即席めん類では、食品衛生法により酸価3以下かつ過酸化物価30以下と規定されています。JAS規格ではフライ麺の酸価が1.5以下とさらに厳しい値です。
揚げ菓子や油脂が10%を超える菓子の場合は、酸価が3を超えかつ過酸化物価が30を超えてはなりません。単独では酸価5以下、過酸化物価50以下が上限です。
弁当・惣菜の分野では、原材料油脂の酸価1以下・過酸化物価10以下が求められます。揚げ調理中の油脂は酸価2.5以下を維持する必要があります。
精製油はJAS規格で酸価0.2以下、サラダ油は0.15以下と非常に低い値が設定されています。詳しい検査項目と料金は油脂酸化分析のページをご覧ください。
これらの基準は厚生労働省の食品規格基準に基づいています。
AHCの油脂酸化分析サービス
株式会社AHCは、ISO/IEC 17025:2017認定の試験所として油脂酸化分析を提供しています。
対応検査は、酸価(2,000円)、過酸化物価(3,000円)、カルボニル価、ORP(酸化還元電位)、トランス脂肪酸分析など多岐にわたります。検査日数は5営業日~が標準で、お急ぎの場合はご相談ください。
クッキーなど油脂を抽出する必要がある加工食品は、別途抽出費用(3,000円)がかかります。新商品の賞味期限設定試験と組み合わせれば、経時変化を定量的に把握することも可能です。
検査のご依頼やお見積りは、お電話(027-253-1515)またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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