乳製品の検査は、食品衛生法とは別の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)で定められた分野です。しかし「牛乳とヨーグルトで基準が違うのか」「アイスクリーム類はどの基準か」と悩む事業者は多いでしょう。この記事では、乳製品の検査に必要な項目と省令で定められた規格を解説します。
乳製品に適用される乳等省令とは
乳製品には独自の法体系が適用されます。具体的には乳等省令(昭和26年厚生省令第52号)です。食品衛生法の下位法令として位置づけられています。
乳等省令が対象とする食品は多岐にわたります。まず生乳・生山羊乳が原料として該当します。次に牛乳、加工乳、乳飲料があります。加えてアイスクリーム類、クリーム、バター、チーズ、はっ酵乳なども含まれます。
つまり乳を原料とする加工品全般をカバーします。ただし菓子類は除かれます。たとえば乳を使った洋生菓子は、洋生菓子の規格が優先されます。
乳等省令では成分規格、製造方法の基準、保存方法の基準が定められています。加えて表示要領や容器包装の規格も規定されています。このため乳製品は他の食品より管理項目が多い分野です。
食品検査・分析の中でも乳製品は特殊な位置づけです。
牛乳と乳飲料の成分規格
牛乳には明確な成分規格があります。乳脂肪分3.0%以上、無脂乳固形分8.0%以上が必要です。加えて細菌数の基準もあります。具体的には1mLあたり50,000以下です。また大腸菌群は陰性でなければなりません。
加工乳の基準は少し異なります。無脂乳固形分は8.0%以上で共通です。ただし乳脂肪分は任意となります。細菌数と大腸菌群の基準は牛乳と同じです。
乳飲料の規格はさらに緩和されます。乳固形分3.0%以上が最低条件です。細菌数は1mLあたり30,000以下となります。つまり牛乳より厳しい数値です。加熱殺菌後の品質管理を重視した設計です。
殺菌条件にも基準があります。保持式による低温殺菌は62〜65℃で30分間です。また高温短時間殺菌や超高温殺菌も認められています。いずれも中心部で発育する細菌を死滅させる方法が必要です。
発酵乳・乳酸菌飲料の検査ポイント
発酵乳には独自の規格があります。無脂乳固形分は8.0%以上が必要です。加えて乳酸菌数または酵母数が1mLあたり1,000万以上という規定があります。つまり「菌が多いこと」が規格の条件です。
乳酸菌飲料は区分で基準が変わります。無脂乳固形分3.0%以上のものは乳酸菌数1,000万以上が必要です。一方、3.0%未満のものは100万以上が基準となります。加えて大腸菌群は陰性です。
はっ酵乳と乳酸菌飲料では注意点があります。有益菌(乳酸菌・酵母)と有害菌(大腸菌群)を区別して検査します。そのため検査の専門性が求められます。
特に重要なのが保存中の変化です。乳酸菌は低温でも代謝を続けます。つまり保存期間中にpHが変化する可能性があります。細菌検査と併せて品質の経時変化を確認すべきです。
アイスクリーム類と冷凍食品扱いの違い
アイスクリーム類にも独自の規格があります。3つの種類に分類されます。アイスクリームは乳固形分15.0%以上かつ乳脂肪分8.0%以上です。アイスミルクは乳固形分10.0%以上かつ乳脂肪分3.0%以上が必要です。ラクトアイスは乳固形分3.0%以上となります。
細菌数の基準は共通です。1gあたり100,000以下、大腸菌群は陰性が求められます。つまり冷凍保存でも微生物の管理が重要です。
ここで注意すべきは冷凍食品との区別です。アイスクリーム類は乳等省令が優先されます。一方、アイスケーキなど乳固形分が3.0%未満のものは「氷菓」扱いとなります。氷菓は食品衛生法の冷凍食品の規格が適用されます。
製造施設でもこの区別は重要です。アイスクリーム類は乳製品工場、氷菓は冷菓工場として別の許可が必要です。
厚生労働省の規格基準でも乳製品は別章に分けられています。
AHCの乳製品向け検査サービス
AHCはISO/IEC 17025認定試験所です。乳製品の検査に幅広く対応しています。乳等省令に基づく成分規格試験を提供可能です。
具体的には細菌数、大腸菌群、乳脂肪分、無脂乳固形分、乳酸菌数などに対応します。加えて拭き取り検査による製造環境のモニタリングも実施します。
乳製品の区分判定や適切な検査項目の選定についてもアドバイスいたします。全国どこからでも検体を郵送できます。
乳製品の規格検査や品質管理でお悩みの方はお問い合わせください。
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