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手指 細菌検査|ハンドスタンプと手洗いの評価

📋 こんなご相談をよくいただきます

  • 手洗いの指導はしているが、効いているか分からない。
  • 検査したら、手洗い後のほうが菌数が多かった。
  • 従業員によって結果の差が大きい。原因を知りたい。
  • 監査で手指の検査記録を求められた。
  • 検便はやっているが、それだけで十分か迷っている。

手指の細菌検査は、従事者の手の菌数を測る検査です。目的は手洗いの評価にあります。手洗いは衛生管理の基本ですが、効果が目に見えません。そのため、正しくできているかを数値で確かめます。ただし、結果の読み方には注意が要ります。手洗い後のほうが菌数が多く出ることもあるためです。本記事では、その理由も含めて解説します。

拭き取り検査や検便との違い

似た検査がいくつかあります。混同されやすいので、最初に整理します。

検査対象分かること
手指の細菌検査人の手手洗いや消毒が効いているか
拭き取り検査調理台、器具、設備洗浄と殺菌が行き届いているか
検便(腸内細菌検査)便保菌者かどうか

検便は保菌者を見つけるための検査です。つまり、その人が病原菌を持っているかを調べます。一方、手指の検査は行動を見ています。同じ人でも、手洗いのやり方次第で結果が変わります。したがって、両方を補い合う関係にあります。

設備側の検査については拭き取り検査とはで詳しく解説しています。

検査の3つの方法

手の菌を回収する方法は、大きく3つあります。目的によって使い分けます。

方法やり方特徴
ハンドスタンプ法培地に手のひらや指を押しつける手順が簡単。教育に使いやすい
拭き取り法綿棒で手指をぬぐう指の間や爪回りも採れる
グローブジュース法滅菌手袋に回収液を入れてもみ出す回収率が高い。研究や効力評価向け

日常の管理にはハンドスタンプ法が向いています。培地に手を押すだけなので、現場でも実施できるためです。しかも、集落が生えた培地をそのまま見せられます。つまり、教育効果が高い方法です。

一方、消毒剤の効果を厳密に比べたい場合は、グローブジュース法が使われます。手袋の中に液を入れてもみ出し、その液を培養する方法です。回収のばらつきが小さいため、比較試験に適しています。

何を測るか

一般的には3項目です。それぞれ意味が違います。

項目読み取れること
一般生菌数全体の汚れ具合。手洗いの総合評価
大腸菌群糞便や原材料由来の汚染の指標
黄色ブドウ球菌手荒れや傷からの汚染リスク

黄色ブドウ球菌は、とくに手指と関わりが深い菌です。健康な人でも20〜30%が保菌しているとされます。しかも、手の傷や手荒れの部分に多く存在します。だからこそ、手指を対象に測る意味があります。

この菌は食品中で増殖するとエンテロトキシンという毒素を作ります。この毒素は熱に強く、加熱しても壊れません。つまり、後工程では取り返せない汚染になります。

手洗い後に菌数が増えることがあります

ここが最も誤解を招く点です。検査すると、洗った後のほうが菌数が多い人が出てきます。ある調査では、2割近くの人にこの現象が見られました。作業中より洗浄後のほうが菌数が多かったという報告です。作業中は300以下だったのに、洗浄後は1万を超えた例もありました。

原因は、手の菌が2種類あることにあります。

種類性質
通過菌外から付着した菌。手洗いで落とせる
常在菌皮膚の内側にいる菌。落としきれない

食中毒の原因になるのは、主に通過菌です。手洗いはこれを落とすために行います。ところが、繰り返し洗うと皮膚の奥から常在菌が浮き出てきます。そのため、一般生菌数だけを見ると増えたように見えるのです。

判断の手がかりは項目の内訳にあります。増えたのが一般生菌数だけなら、常在菌が拾われた可能性があります。大腸菌群が出ていないことが条件です。逆に大腸菌群が検出されていれば、汚染が残っています。

⚠️ 数字だけで従業員を評価しないでください

菌数が多い=手洗いを怠っている、とは限りません。手荒れがある人は常在菌が多く出やすいためです。数字を叱責の材料にすると、検査そのものが敬遠されます。原因を一緒に探す姿勢が、結果的に改善につながります。

手洗いの工程と減り方

手洗いは一連の工程です。それぞれに役割があります。実験では、大腸菌を手に付けたうえで各工程の菌数を測った例があります。

  • 石けんで洗うと、菌数が2桁ほど減ります。
  • ペーパータオルで水分と汚れを拭き取ると、さらに1桁減ります。
  • アルコールで消毒すると、さらに1桁以上減ります。

注目すべきは拭き取りの効果です。洗って消毒するだけでは足りません。濡れたまま消毒すると、アルコールが薄まって効きにくくなります。 つまり、拭くという地味な工程が結果を左右します。

検査で改善点を探すときは、この3工程のどこが抜けているかを見てください。

判定の考え方

はじめに押さえておきたい点があります。手指の菌数について、法令上の基準値はありません。 したがって、各施設が自主的に目安を決めることになります。

参考として、ある検査機関では次のような内規を用いています。

項目目安の例
一般生菌数30以下は良好、31〜50は要注意、51以上は不可
大腸菌群検出されないこと
黄色ブドウ球菌検出されないこと

あくまで一例です。採取方法が違えば数値も変わるため、そのまま流用はできません。むしろ大切なのは、同じ方法で継続して測ることです。そうすれば、自社の平常値が見えてきます。

さらに有効なのが前後比較です。手洗い前と後を並べて測ると、その人の手洗いがどれだけ落とせているかが分かります。絶対値より変化のほうが、改善に直結します。

手指 細菌検査の依頼と実務

依頼の前に決めておくと、設計が早く進みます。

確認事項なぜ必要か
検査の目的教育向けか記録向けかで方法が変わるため
対象人数必要な培地や資材の数が決まるため
採取のタイミング手洗い前後を比べるかどうかで変わるため
実施の頻度継続して比べるには条件をそろえる必要があるため
誰が採取するかやり方の差が数値の差になるため

AHCの対応範囲

項目対応
ハンドスタンプ検査✅ 承ります。資材の送付から対応
手指の拭き取り検査✅ 承ります
一般生菌数・大腸菌群・黄色ブドウ球菌✅ ISO/IEC 17025認定範囲
設備・器具の拭き取り検査✅ 承ります
検便(腸内細菌検査)✅ 承ります

費用は人数と項目数により変わるため、個別にお見積りいたします。

🏢 株式会社AHCについて

1977年創業の食品微生物検査ラボとして、微生物検査・環境検査・成分分析を全国対応で承っています。群馬県前橋市に試験室を構えています。関連記事:拭き取り検査とは / 店舗衛生調査

まとめ

手指の細菌検査は、手洗いという見えない行動を数値にする方法です。ハンドスタンプ法なら現場でも実施でき、教育にも使えます。

結果を読むときは、項目の内訳を見てください。一般生菌数だけが増えたなら、常在菌が浮き出た可能性があります。大腸菌群が出ていれば、汚染が落ちきっていません。

法令上の基準値はないので、自社の平常値を持つことが出発点です。そのうえで手洗い前後を比べると、改善点が具体的に見えてきます。

当社ではハンドスタンプ検査を承っています。ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。お電話(027-253-1515)でも承ります。

外部参考資料

手指の細菌検査(ハンドスタンプ培地の菌数比較)

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