2026年10月、業務用の水産加工品(サバの竜田揚げ)から大量のヒスタミンが検出され、約1万5千袋の自主回収が始まりました。回収のクラス分類は、健康被害につながるおそれがある「CLASS Ⅰ」です。きっかけは、食べた人からの「舌がしびれる」という申し出でした。
ヒスタミンは、加熱しても分解されません。揚げる、煮る、焼くといった調理の工程では除けないため、原料の段階で抑えるしかありません。この記事では、ヒスタミンが生成される仕組みと、受入・出荷の段階で検査を組み込む考え方を整理します。
ヒスタミン食中毒とは
ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンを多く含む食品を食べることで起きる、アレルギーに似た症状の食中毒です。食べてすぐに、くちびるや舌先にピリピリとした刺激を感じることがあります。
原因になるのは、ヒスチジンというアミノ酸を多く含む赤身の魚と、その加工品です。厚生労働省は、マグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどを挙げています。
発生件数は増えています
厚生労働省の集計では、ヒスタミンによる食中毒は毎年起きています。
| 年 | 事件数 | 患者数 |
|---|---|---|
| 2022年(令和4年) | 2件 | 148人 |
| 2023年(令和5年) | 4件 | 77人 |
| 2024年(令和6年) | 8件 | 135人 |
| 2025年(令和7年) | 13件 | 431人 |
出典:厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について」
1件あたりの患者数が多いのが特徴です。給食や弁当、惣菜のように、同じ原料が一度に多くの人へ届く場面で起きやすいためです。
ヒスタミンが生成される仕組み
魚の身に含まれるヒスチジンに、ヒスタミン産生菌の酵素がはたらくと、ヒスタミンに変わります。菌が増える温度に置かれた時間が長いほど、ヒスタミンは増えていきます。
注意したいのは、次の3点です。
- 加熱しても分解されない:調理の工程で除くことはできません。
- 見た目やにおいでは分からない:鮮度が落ちていなくても、ヒスタミンだけが増えていることがあります。
- 冷蔵でも長期保管で増える:厚生労働省は、10℃で管理していても長く保管すると増えることがあるとして、原料魚や半製品の長期保管を避けるよう求めています。
受入検査・出荷前検査に組み込む
ヒスタミンは調理で除けないため、原料が工場に入る時点と、製品が出ていく時点で確かめることが大切です。
| 段階 | 検査の考え方 |
|---|---|
| 原料の受入 | 新しい仕入先や産地、輸入原料に切り替えたとき、ロットごとに確認します。 |
| 保管・解凍 | 温度の逸脱や長期保管があったロットは、使う前に確認します。 |
| 製品の出荷 | 定期的に抜き取り、取引先への説明材料として記録を残します。 |
| 苦情が出たとき | 「舌がしびれる」などの申し出があれば、同じロットの在庫品をすぐに確認します。 |
今回の回収も、申し出を受けて在庫品を検査したことで、対象の範囲を特定しています。記録があれば、問題のロットを絞り込むことができます。
AHCのヒスタミン検査
当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。
AHCでは、食品中のヒスタミンを自社の試験室で測定しています。料金は1検体8,000円(税抜)です。検体の種類(原料魚、加工品など)と検体数をお知らせいただければ、納期と送り方をご案内します。
ヒスタミンを生成する菌の増え方は、保管の温度と時間で変わります。一般生菌数などの微生物検査と組み合わせたご相談も承ります。食中毒の予防の考え方はヒスタミン食中毒の予防と食材検査の重要性でも解説しています。
ご相談はお問い合わせフォームからお寄せください。お電話(027-253-1515)でも承ります。
外部参考資料
