栄養成分表示の義務5項目は、加工食品メーカーの基本ルールです。本記事では各項目の意味と分析方法を整理します。表示計画の出発点としてお役立てください。
栄養成分表示の義務5項目は、食品表示法で定められています。しかし、項目ごとに分析方法が異なります。そのため、自社製品にどの試験が必要か迷う方も多いはずです。
本記事では、義務5項目の概要と各分析法を整理します。さらに、関連する強調表示や許容差のルールも解説します。
よくお寄せいただくご相談
- 加工食品の栄養成分表示を、計算値と分析値どちらで作成すべきか判断したい
- 強調表示(「高〇〇」「低〇〇」)の根拠試験をどこに頼むべきか相談したい
- 許容差±20%の範囲内に収まる試験設計を組みたい
- 5項目以外の栄養素を任意表示する際の試験法を知りたい
栄養成分表示の義務5項目とは|食品表示法の基本
義務化の経緯と対象
栄養成分表示は、食品表示法で義務化されています。具体的には2020年4月から、原則すべての加工食品が対象です。
つまり、容器包装に入れて販売される加工食品のほぼ全てが該当します。なお、小規模事業者(従業員20人以下等)は省略可能です。
5項目とその表示順序
義務表示の5項目は、表示順序まで決まっています。次の順に記載します。
| 順 | 項目 | 単位 | 主な分析法 |
|---|---|---|---|
| 1 | 熱量(エネルギー) | kcal | Atwater係数による計算 |
| 2 | たんぱく質 | g | ケルダール法・燃焼法 |
| 3 | 脂質 | g | ソックスレー法・酸分解法 |
| 4 | 炭水化物 | g | 差引法(100-水分-灰分-たんぱく質-脂質) |
| 5 | 食塩相当量 | g | ナトリウム×2.54÷1000(原子吸光・ICP等) |
出典:消費者庁「食品表示基準」別表第9
この順序は変更できません。さらに、表示単位も決められています。なお、5項目以外を表示する場合は食塩相当量の下に記載します。
各項目の分析法と実務ポイント
熱量(エネルギー)の算出
熱量は通常、計算で求めます。Atwater係数を使うのが基本です。
具体的には、たんぱく質×4、脂質×9、炭水化物×4の各kcalを合算します。なお、糖アルコールや有機酸など特殊成分には別係数が使われます。
たんぱく質の定量
まず、たんぱく質は窒素量から算出します。窒素含量を測定し、係数(通常6.25)を掛けるのが定石です。
測定法は2種類。ケルダール法と燃焼法(デュマ法)があります。ケルダール法は伝統的な湿式法、燃焼法は自動化された乾式法です。
食品種類により係数が異なります。例えば乳製品は6.38、米は5.95です。
脂質の定量
脂質はソックスレー法が基本です。エーテルで脂質を抽出して秤量します。
ただし、結合脂質を含む食品では酸分解法が必要。具体的にはクロロホルム・メタノール法やレーゼゴットリーブ法も使われます。食品マトリクスで使い分けます。
炭水化物の算出
炭水化物は通常、差引法で求めます。具体的には100gから水分・灰分・たんぱく質・脂質を引きます。
つまり、炭水化物単独の分析は不要。ただし、糖質と食物繊維を分けて表示する場合は別途分析が必要です。
食塩相当量の算出
食塩相当量はナトリウム量から計算します。式は「ナトリウム(mg)×2.54÷1000」。
ナトリウム自体の測定は、原子吸光法・ICP発光分析法・電位差滴定法があります。食品マトリクスで適切な手法を選びます。
表示値の作り方|計算値と分析値の選択
2つの作成方法
表示値には2つの作成方法があります。まず計算値、次に分析値です。
計算値は原料の栄養成分から算出する方法。食品成分表や原料規格書を使います。一方、分析値は実際に製品を測定する方法です。
| 比較項目 | 計算値による表示 | 分析値による表示 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 食品成分表や原料規格書から算出 | 実際に製品を分析機関で測定 |
| コスト | 低い(自社で算出可能) | 分析委託費が必要 |
| 必要な表記 | 「推定値」または「この表示値は目安です」 | 不要(確定値として記載可能) |
| 強調表示への対応 | 使用不可 | 使用可能 |
| 信頼性 | 原料データの精度に依存 | 実測のため高い |
| 主な利用シーン | 少量生産・試作品・概算表示 | OEM受託・PB商品・強調表示 |
| 根拠資料の保管 | 算出根拠の書類保管が必要 | 試験成績書を保管 |
出典:消費者庁「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」
許容差のルール
表示値には許容差が定められています。具体的には主要4項目(熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物)とナトリウムは±20%です。
つまり「脂質10g」と表示した場合、実測値は8〜12gに収まる必要があります。つまりこの範囲を超えてしまうと不適正表示と判定されます。
| 栄養成分 | 許容差(原則) | 低含量時の例外 |
|---|---|---|
| 熱量 | ±20% | 25kcal未満は別基準 |
| たんぱく質 | ±20% | 2.5g未満は別基準 |
| 脂質 | ±20% | 2.5g未満は別基準 |
| 炭水化物 | ±20% | 2.5g未満は別基準 |
| ナトリウム | ±20% | 25mg未満は別基準 |
出典:食品表示基準 別表第9
5項目以外の栄養成分と強調表示
推奨表示と任意表示
義務5項目以外にも、表示が推奨される成分があります。例えば飽和脂肪酸と食物繊維です。
さらに、任意で表示できる成分も多くあります。具体的にはビタミン13種・ミネラル13種・トランス脂肪酸などです。
| 表示区分 | 対象栄養素 | 表示の義務度 | 分析値の必要性 |
|---|---|---|---|
| 義務表示 | 熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量 | 必須 | 計算値も可(推定値表記必要) |
| 推奨表示 | 飽和脂肪酸・食物繊維 | 表示を推進 | 計算値も可 |
| 任意表示 | ビタミン13種・ミネラル13種・トランス脂肪酸・コレステロール等 | 任意 | 計算値も可 |
| 強調表示 | 「高〇〇」「低〇〇」「ゼロ」「無添加」等で強調する成分 | 基準値の充足が必須 | 分析値が必須(推定値不可) |
出典:食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表第9・別表第12
強調表示の基準
「高〇〇」「低〇〇」などの強調表示には基準があります。つまり、一定の基準値を満たした食品だけが使えます。
例えば「カルシウムが豊富」と書く場合、100g当たり一定量以上のカルシウムが必要。さらに、強調する成分は実分析値で表示します。
強調表示と分析の関係:強調表示する成分は「推定値」での記載ができません。そのため、ラベルに「カルシウムたっぷり」「食物繊維入り」などを記載する場合、実分析値が必須です。
AHCで対応している栄養成分試験
ご相談いただける栄養成分試験を整理しました。
| 試験項目 | 対応可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 義務5項目セット | 対応 | 熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量 |
| 推奨表示項目(飽和脂肪酸・食物繊維) | 要相談 | 分析法をご相談 |
| ビタミン分析 | 要相談 | 項目によって対応 |
| ミネラル分析 | 要相談 | 項目によって対応 |
| トランス脂肪酸・脂肪酸組成 | 要相談 | AOAC法等 |
| 機能性関与成分(ポリフェノール等) | 要相談 | 成分別にご相談 |
※具体的な対応可否は個別にお問い合わせください。
こんな方からのご相談を承っています
栄養成分表示の試験は、以下のような方々からのご相談実績があります。
- 加工食品メーカーで新製品のラベル設計を進めている方
- OEM受託工場で取引先向けの試験成績書が必要な方
- PB商品開発で表示値の信頼性を確保したい方
- 強調表示を予定していて分析値の確保が必要な方
- リニューアル製品の栄養表示を見直したい方
ご相談から納品までの流れ
初めてご利用の方にも分かりやすい流れでご案内しています。
- お問い合わせ:まず、フォームまたはお電話でご相談
- 試験設計のご提案:次に、製品特性・表示計画をお伺い
- お見積もり:そのうえで、検査項目・サンプル数・納期を提示
- 検体送付:さらに、送付方法と必要量をご案内
- 試験実施・結果報告:そして、成績書を発行
AHCについて
AHCは1977年創業の食品検査ラボです。栄養成分の義務5項目から、機能性関与成分まで、製品特性に応じた試験設計をご提案します。
具体的な対応可否・サンプル数・納期は個別見積りにてご相談ください。リニューアル設計や強調表示の根拠試験など、ラベル設計の早い段階からのご相談を歓迎します。
お問い合わせ:お問い合わせフォーム
お電話:027-253-1515(平日 8:30〜17:30)
まとめ|義務5項目を起点に表示計画を立てる
栄養成分表示の義務5項目として、まず熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の意味と分析法を押さえましょう。
つぎに、計算値と分析値の使い分けを検討します。とくに、強調表示を予定する場合は、実分析値が必須です。
なお、表示計画でご不明な点があれば、AHCまでお気軽にご相談ください。
外部参考資料
・消費者庁「栄養成分表示について」(公式)
・消費者庁「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」
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