ミネラルウォーターのPFAS規格基準改正の概要
令和7年(2025年)6月、消費者庁は食品、添加物等の規格基準(食品衛生法に基づく)の一部を改正し、清涼飲料水のうち「ミネラルウォーター類の殺菌又は除菌を行うもの」について、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)及びPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の成分規格を新たに設定しました。
これは、2026年4月1日に施行される水道法改正(PFOS・PFOAの水質基準化)と同じ考え方に基づいて設定されたものです。ミネラルウォーター類が水道水の代替として広く飲用されている実態を踏まえ、水道水の水質基準値と同一の基準値が設定されました。改正の詳細は消費者庁の公式Q&Aおよび環境省の報道発表資料でも確認できます。
| 改正の根拠 | 食品衛生法(食品、添加物等の規格基準の一部改正) |
|---|---|
| 所管省庁 | 消費者庁・厚生労働省(令和7年6月30日 消食基第404号、健生食監発0630第1号) |
| 対象食品 | 清涼飲料水のうち「ミネラルウォーター類」で、殺菌又は除菌を行うもの(天然水・湧水・鉱水等で加熱殺菌・膜除菌処理を行うもの) |
| 規格の種別 | 成分規格(製品規格) |
| 基準値 | PFOS及びPFOAの合算値として 0.00005 mg/L(50 ng/L)以下 |
| ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水 | 現時点では成分規格の設定なし。ただし自主的な濃度管理と低減措置を検討することが望ましいとされている(通知) |
経過措置(猶予期間)について
今回の規格基準改正にあたっては、経過措置(猶予期間)が設けられています。既存在庫の取り扱いと新規製造品の対応を区別して理解することが重要です。
経過措置の適用範囲
2026年(令和8年)3月31日までに製造(または輸入)された清涼飲料水を加工・調理・保存・販売する場合には、これまでどおりの方法(旧基準)が適用されます。
つまり、施行日(2026年4月1日)以前に製造・輸入された製品については、新しい成分規格を満たしていなくても、引き続き流通・販売することができます。
● 2026年3月31日以前に製造・輸入された製品
● 当該製品の加工・調理・保存・販売
● 2026年4月1日以降に製造・輸入される製品
● PFOS+PFOA合算値 50 ng/L以下の成分規格を遵守する必要あり
PFAS規格基準追加による検査費用への影響
清涼飲料水の規格基準検査は、製品ごとに定められた成分規格の全項目を確認する試験です。今回の改正によりPFOS・PFOAが成分規格に追加されたことで、ミネラルウォーター類の規格基準検査では新たにPFAS分析が必要となります。
費用が増加する理由
PFAS分析(LC-MS/MS)は専用機器と前処理が必要な高度な分析です。通常の微生物・理化学検査と比較して費用が高く、これが規格基準検査全体の費用を押し上げます。
従来の清涼飲料水規格基準検査(51項目)に加えてPFASが追加されることで、1回あたりの検査費用が増加します。製品ロットごと・工場ラインごとに検査が必要な事業者は、年間の検査コスト全体の見直しが必要になります。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 成分規格の検査項目 | 清涼飲料水規格基準 既定項目 | + PFOS・PFOA(成分規格として追加) |
| 分析手法 | — | LC-MS/MS(告示法、専用前処理が必要) |
| 1回あたりの検査費用 | 従来水準 | 増加(PFAS分析費用分が上乗せ) |
PFAS規格基準改正の対象事業者と対応のポイント
今回の改正で直接影響を受けるのは、ミネラルウォーター類(殺菌・除菌を行うもの)の製造・輸入・販売業者です。また、ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水のメーカーについても、自主的な管理が通知で推奨されています。
2026年3月31日以前の製造・輸入分と4月1日以降の製造分を明確に区別し、ロット管理を整備する
水源(地下水・湧水等)のPFOS・PFOA濃度を事前に測定し、50 ng/Lの基準値を超えるリスクがないか確認する
PFAS分析が加わることで検査費用が増加する。年間の検査計画と予算を改定する
ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水メーカーへの通知
消費者庁・厚生労働省の連名通知(令和7年6月30日)では、ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水(炭酸飲料・スポーツドリンク・果汁飲料等)のメーカーについても、自主的にPFOS・PFOAの濃度を管理し、可能な範囲で低減措置等を検討することが望ましいとされています。義務ではありませんが、今後の規制強化を見据えた先行対応が推奨されます。
AHCへのご依頼について
AHCは群馬県を拠点とする微生物・理化学試験機関です。ISO/IEC 17025:2017認定のもと、清涼飲料水規格基準検査に加え、PFAS分析(PFOS・PFOA測定)の外部委託に対応しています。原水の事前スクリーニングから規格基準検査まで、一貫してご対応いたします。
地下水・湧水・鉱水のPFOS・PFOA濃度を事前測定。基準値超えのリスクを早期に把握
既定の規格基準項目+PFAS(PFOS・PFOA)をセットで対応。改正後の規格基準に対応した検査報告書を発行
ミネラルウォーター類以外のメーカー向けに、通知に基づく自主的なPFAS濃度管理の継続測定に対応
ISO/IEC 17025認定のもとILAC MRA複合マーク付き報告書を発行。国内外の取引先・監査対応にも使用可能
費用の見積もり・採水容器・検査スケジュールについては、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
よくあるご質問
Q. 「ミネラルウォーター類」の定義を教えてください。
A. 食品衛生法上の「ミネラルウォーター類」とは、地下水(湧水・鉱水・温泉水等)を原水とする清涼飲料水の総称です。「天然水」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」がこれに含まれます。今回の成分規格(PFAS追加)が適用されるのは、このうち殺菌または除菌を行うもの(加熱殺菌・膜除菌等)に限られます。
Q. 2026年3月31日に製造した在庫品は、4月以降も販売できますか?
A. はい、経過措置により販売可能です。2026年3月31日以前に製造(または輸入)された製品は、旧基準のもとで加工・保存・販売することができます。ただし製造日の記録・管理を適切に行い、ロット単位で区別できるようにしておくことを推奨します。
Q. 炭酸飲料やスポーツドリンクも検査が必要ですか?
A. 今回の成分規格(義務)は「ミネラルウォーター類のうち殺菌・除菌を行うもの」に限られます。炭酸飲料・スポーツドリンク・果汁飲料などミネラルウォーター類以外の清涼飲料水については、法的義務はありません。ただし省庁通知では自主的な管理・低減措置が望ましいとされており、今後の規制拡大に備えた自主検査を推奨します。
Q. 基準値を超えた場合、どうすればいいですか?
A. 食品衛生法の成分規格に違反する食品は販売できません。基準値(50 ng/L)を超えた場合は、対象ロットの出荷停止と自治体(保健所)への報告が必要となります。水源(原水)の汚染が疑われる場合は、原水の継続モニタリングと浄化措置の検討が必要です。まずはAHCまでご相談ください。
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AHCはISO/IEC 17025:2017認定試験所(PJLA認定)です。ILAC MRA複合マーク付き試験報告書を発行できる体制を整えています。
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