水産物の検査は、食品衛生法で複数のカテゴリーに分かれた複雑な分野です。しかし「刺身と加熱用魚介類で何が違うのか」「何を検査すればよいのか」と悩む事業者は多いと思います。この記事では、水産物の検査に必要な項目と規格基準を解説します。
水産物の成分規格のカテゴリー
複数の規格基準があります。食品衛生法で明確に分類されています。主なカテゴリーを整理します。
まず生食用鮮魚介類です。切り身またはむき身にした鮮魚介類で、生食用として販売されるものです。ただし生かきと凍結品は除かれます。つまり刺身やお造り用の魚介類が該当します。
次に生食用かきは別区分です。むき身のかきには独自の成分規格があります。また冷凍の生食用鮮魚介類も別規格です。さらにゆでだこ、ゆでがに、魚肉ねり製品にもそれぞれ規格があります。
加えて規格基準が定められていない水産物も多くあります。たとえば加熱調理用の鮮魚介類です。これらは厚生労働省の指導基準や自主管理基準で管理します。
このように水産物は製品形態で適用される基準が変わります。そのためカテゴリー判定が最初の重要ステップです。
生食用鮮魚介類の規格基準
生食用鮮魚介類には明確な成分規格があります。最も重要なのが腸炎ビブリオの基準です。具体的には最確数(MPN)が1gあたり100以下でなければなりません。
なぜ腸炎ビブリオが重視されるのでしょうか。それは夏季の海水に広く存在するためです。つまり魚介類を介した食中毒の主要な原因菌です。3%の食塩濃度で最もよく発育する好塩性の細菌です。
加工基準も厳格に定められています。加工に使用する水は食品製造用水、殺菌海水、または殺菌水を使った人工海水に限られます。また原料の解凍時は衛生的な場所で行います。加えて十分な換水で洗浄することが必須です。
保存基準は10℃以下です。清潔で衛生的な容器包装に入れる必要があります。つまり冷蔵流通が前提の食品です。
このような厳格な規格は、2001年の改正で導入されました。血清型O3:K6による腸炎ビブリオ食中毒の多発が背景にあります。
生食用かきと加熱調理用の区別
独自の規格が生食用かきにはあります。生食用鮮魚介類とは別の基準が適用されます。
具体的には細菌数、E.coli、腸炎ビブリオの各基準です。細菌数は1gあたり50,000以下となります。またE.coliは最確数230以下です。加えて腸炎ビブリオは最確数100以下です。大腸菌群ではなくE.coliを指標にしている点が特徴です。
生食用かきは採取海域の指定も厳密です。保健所が指定した海域でのみ採取できます。そのため紫外線殺菌海水での浄化工程も義務付けられています。
一方、加熱調理用のかきや魚介類には成分規格がありません。ただし自主的な品質管理は重要です。特にノロウイルスの検査が推奨されます。加熱調理用でも調理不十分による食中毒が発生しています。
加熱調理用を生食に転用することは禁止されています。表示で明確に区別する必要があります。
水産物で注意すべき食中毒菌とリスク
水産物にはさまざまな食中毒リスクがあります。代表的な原因を整理します。
腸炎ビブリオは最も頻繁な原因菌です。特に夏場の生魚介類で発生します。しかし近年は冬場の発生も報告されています。そのため通年の管理が必要です。
ヒスタミンは化学的な食中毒の原因です。サバ、マグロなどの赤身魚で発生します。ヒスチジンが細菌によってヒスタミンに変換されます。加熱しても分解されないため予防が最重要です。具体的には低温管理の徹底が基本対策です。
アニサキスは寄生虫による食中毒です。サバ、サケ、イカなどに寄生します。冷凍(-20℃で24時間以上)または加熱(60℃以上1分)で死滅します。目視検査も有効な手段です。
加えてノロウイルスも水産物の重要なリスクです。特に二枚貝での感染が知られています。細菌検査と併せたウイルス検査も推奨されます。
AHCの水産物向け検査サービス
AHCはISO/IEC 17025認定試験所です。水産物の検査に幅広く対応しています。腸炎ビブリオ、E.coli、細菌数、ノロウイルスなどを高精度に検査可能です。
さらに食品検査・分析としてヒスタミン検査にも対応します。加えて加工施設の拭き取り検査もワンストップで提供しています。
水産加工事業者や飲食店の品質管理を包括的にサポートします。自社商品の規格判定からアドバイスも可能です。
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