ノロウィルスを知る。ふきとり検査を中心にした衛生対策

ノロウィルスのふきとり検査 による予防

ノロウイルスとふきとり検査

毎年のように冬になるとノロウイルスの集団感染が発生します。
ときに病院や社会福祉施設で流行して亡くなる人がいて、社会問題として報道されているのを耳にされたことがあるかもしれません。

一体、ノロウイルスとはどのようなウイルスなのでしょうか?

またノロウイルスを確認する方法はあるのでしょうか?

この記事では、ノロウイルスの特徴、またノロウイルスに対する検査法、特にふきとり検査について解説いたします。

1. ノロウイルスとは?

胃腸炎の原因となるウイルスです。

加熱処理が不十分な牡蠣や二枚貝を食べて感染するほか、ノロウイルス感染者の吐物や糞便を処理した人の手から感染します。

厚生労働省による「感染症発生動向調査事業」で収集されているデータによると、近年は日本国内で発生する食中毒の一番多い原因微生物でもあります。

食中毒の場合は、食品取扱者(食品の製造、飲食店における調理、家庭内での調理などに携わる人)がノロウイルスに感染しており、その人が扱った食品を介して広がることが一般的です。

年中を通して食中毒を起こし得ますが、冬場に増える傾向があります。

感染すると、数日間の潜伏期間ののち、激しい嘔吐で発症し、間も無く頻回の下痢を起こします。激しい症状が出ますが、通常は数日以内に改善します。

非常に感染力が強く、感染者の吐物などから広く空間に飛散し、感染者が使用している衣服だけでなく、周囲の床、壁、ドアなどにもウイルスが付着します。

したがってノロウイルスの感染者が発生したら、吐物や糞便の適切な処理、環境や衣類の消毒、また感染者や対応者の念入りな手洗いが必要となります。

2. ノロウイルスに対する検査

医療現場では、症状や周囲の流行状況からノロウイルス感染症を診断することが一般的です。ただし補助的に検査を行うこともあります。

現在使用できる検査をいくつかご紹介します。

・抗原検査
感染者の糞便を利用し、医療機関で一般的に行われる迅速検査です。

3歳未満と65歳以上は保険適応となります。

ただ感染していても陰性となる(偽陰性)があり、通常は補助的に用います。

  • RT-PCR法
  • リアルタイムPCR法

感染者の糞便に含まれる、また環境に存在するウイルスを検出する検査で、研究機関や検査機関において実施されます。

RT-PCR法は、ウイルスの定性に用い、比較的迅速に検査結果が判明します。

リアルタイムPCR法では、ウイルスの定量も可能です。

この他、電子顕微鏡を用いて検査することもあります。

3. ノロウイルスふきとり検査 を行う意義

特に食品を扱う場所で感染者が発生した場合、感染者が取り扱った調理器具だけでなく、周囲の環境に広範囲にノロウイルスが飛散している可能性があります。

しかも、ノロウイルスはエタノールの消毒では死滅せず、数週間も環境内で生存できることが知られています。

したがって、特に食品を扱う施設では、周囲への二次感染を防ぐために、ノロウイルスが付着し残存している場所を同定し、ウイルスが残存する場所を徹底して消毒する必要があります。

このように環境の汚染状況や消毒の効果を評価するためには、環境に存在するノロウイルスの検出を目的としたふきとり検査が最適です。

ノロウイルスのふきとり検査は、検査会社から送付される検査キットを用いることで、非常に簡便に実施できます。

簡便な検査ではありますが、検体の採取は入念に行います。なぜなら、検体の採取が不適切であれば、本当はウイルスが存在しているのに、結果は陰性(偽陰性)となってしまう可能性があるからです。

なお採取された検体は、検査期間においてRT-PCR法を用いて検査され、ノロウイルスの存在の有無を確認することが可能になります。

もしノロウイルスのふきとり検査で陽性であれば、その場所は次亜塩素酸入りの消毒液を用い、さらに念入りに消毒が必要になります。

4. まとめ

ノロウイルスは感染力が強いこともあり、食品を扱う職場で感染者が発生するとその対応に労力を費やさざるを得ません。

だからこそ、環境に残存するノロウイルスを確認するための検査は、労力をあまり使わずに実施できる簡便で、かつ正確な検査が良いでしょう。この目的に合致するPCR法によるノロウィルスふきとり検査を、是非ご活用ください。

 

 

厚生労働省 ノロウィルスに関するQ&A

AHCのノロウィルスふきとり検査

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