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ビフィズス菌の検査方法|選択培地と国際標準法

ビフィズス菌の検査は、乳酸菌試験とは別の試験設計が必要です。専用の選択培地と嫌気培養条件が前提となります。乳製品の品質保証で正確な菌数値を得るための基本を整理します。

ビフィズス菌の検査は、乳製品の品質保証で重要な役割を担います。一般の乳酸菌試験とは別の試験条件が必要です。なぜなら、ビフィズス菌は分類学的に乳酸菌と異なる特性を持つからです。試験設計を誤ると、菌数の過小評価や過大評価が起きます。

そこで本記事では、ビフィズス菌の検査方法を整理します。乳酸菌との違い・選択培地の使い分け・国際標準法ISO 29981・実務での落とし穴を順に解説します。プロバイオティクス製品の開発者や品質管理担当者が、検査計画を立てる際の指針となる内容です。

ビフィズス菌の検査が乳酸菌試験と分かれる理由

ビフィズス菌は、乳酸菌と並んで「善玉菌」として知られています。一方、分類学的には別の細菌グループです。具体的にはBifidobacterium属に分類されます。乳酸菌の中心であるLactobacillus属やStreptococcus属とは系統が異なります。

機能面でも違いがあります。乳酸菌は乳酸だけを主に産生します。これに対しビフィズス菌は、乳酸と酢酸の両方を産生します。比率はおよそ2対3でビフィズス菌の方が酢酸を多く作る性質を持ちます。

さらに重要なのが酸素への耐性です。ビフィズス菌は偏性嫌気性菌で、酸素があると生きていけません。一方、多くの乳酸菌は微好気性または通性嫌気性で、酸素があっても増殖できます。この違いが試験設計を分ける根本理由です。

乳等省令の規格基準でも、ビフィズス菌は「乳酸菌に含まれない」扱いです。そのため、ビフィズス菌入り製品の場合、乳酸菌数の規格を満たすには別の乳酸菌を併用する必要があります。詳細は乳酸菌飲料の規格基準|種類別の検査項目と試験方法をご覧ください。

選択培地の選び方|TOSムピロシン・BL寒天の違い

ビフィズス菌の検査では、選択培地の使い分けが結果を左右します。

ビフィズス菌の代表的な培地

代表3種類とそれぞれ用途と精度が異なります。

培地名特徴・開発背景主な成分・仕組み選択性・識別方法主な用途
TOSムピロシン培地現在の国際標準(ISO)採用培地TOS(オリゴ糖) + ムピロシン(抗生物質)抗生物質で乳酸菌の増殖を阻害し、ビフィズス菌のみを計数乳酸菌共存製品からのビフィズス菌選択計数
TOSプロピオン酸寒天培地ヤクルト本社中央研究所が開発ガラクトオリゴ糖配合乳酸菌はピンポイント状の微小コロニーになるため、識別が容易ビフィズス菌の選択的分離・計数
BL寒天培地嫌気性菌用の古典的な分離・鑑別培地ウマ脱線維血液(5%添加)コロニーの色(茶〜褐色)や形態で判別。選択性は上記2つより低い研究用途、菌種の分離・同定の前段階

国際標準法ISO 29981の試験条件

乳製品中のビフィズス菌の菌数測定法は、国際規格ISO 29981 / IDF 220として標準化されています。

試験の基本フローは3ステップです。まず、サンプルを希釈液で溶解し段階希釈します。次に、希釈液をシャーレに入れて温めた培地と混和し固化させます。最後に、嫌気条件下で培養してコロニー数を計測します。

培養条件は、37℃、72時間が原則です。嫌気条件の確保には、嫌気チャンバー・嫌気ジャー・市販の簡易嫌気キットなどが使われます。とくに重要なのが嫌気度の管理です。酸素が残ると、ビフィズス菌が死滅して菌数が過小評価されます。

なお、近年ではISO 29981の改定が進んでいます。2024年には森永乳業が主導した改定案が国際規格として採択されました。改定の目的は、より安定的に生菌数値を測定する培養法の開発です。製造者は、最新版の規格情報を検査機関と共有することが望ましいといえます。

ビフィズス菌の検査でつまずきやすい3つの留意点

ビフィズス菌の検査では、現場で繰り返し遭遇する落とし穴があります。具体的には3つの論点に注意が必要です。

留意点原因と現象対策・解決策
1. 嫌気度不足による過小評価嫌気条件不良や脱気剤の劣化で酸素が混入し、ビフィズス菌が死滅。検査機関の嫌気管理(運用体制)を事前に確認する。
2. 乳酸菌の混入による誤計数培地の調製不良(ムピロシン濃度不足など)や菌量過多により、乳酸菌が混在する。培地の品質管理の徹底と、希釈倍率を適正化する。
3. 菌種同定の限界培養法では「属」レベルの総数しかわからず、複数種の個別定量ができない。菌種別の確認が必要な場合は、qPCR法や16S rRNA解析などの分子生物学的手法を検討する。

機能性表示食品との関連:ビフィズス菌を関与成分とする機能性表示食品では、届出時に菌数の表示根拠が求められます。生菌タイプか死菌タイプかでも適切な試験法が異なります。死菌の定量にはフローサイトメトリーや遺伝子定量が用いられます。

ビフィズス菌検査の依頼で押さえておきたい4つのポイント

ビフィズス菌の検査をご依頼いただく際、以下の参考にしてください。

結果の精度につながる依頼方法

まず、結果の精度を高めるためにお伝えいただきたい情報があります。具体的には4つのポイントです。

No.ご相談・ご共有いただきたい項目お伝えいただきたい情報期待される効果
1サンプリング条件のご共有検体採取日時・保存温度・配送方法嫌気性菌特有の生菌数変動を踏まえた結果解釈ができます
2測定目的のご相談出荷判定 / ロット間ばらつき / 賞味期限内推移 など目的に応じた試験設計(単発・複数ロット・経時)をご提案します
3表示用試験へのご要望パッケージ表示の予定有無、表示形式(○億個/本など)表示根拠に適した試験法選定と成績書発行形式をご相談します
4使用菌株情報のご共有菌種名・由来・推奨培養温度最適な培養条件を選定し、結果の信頼性が高まります

AHCの検査対応について

AHCは1977年創業の食品微生物検査ラボです。ビフィズス菌の生菌数測定のご相談に対応してきました。なお、受託研究開発の枠組みで試験設計と実施をご提供します。プロバイオティクス製品開発の初期段階から、お気軽にご相談ください。

関連記事:乳酸菌飲料の規格基準JECFA規格・微生物限度試験大腸菌群検査ガイド

まとめ|ビフィズス菌の検査を品質保証に活かす

ビフィズス菌の検査は、選択培地・嫌気培養・国際標準法の3点を理解することから始まります。乳酸菌試験との違いを認識すれば、適切な試験設計が可能です。とくにTOSムピロシン培地と37℃72時間嫌気培養の組み合わせが、現代の標準的アプローチです。

また、製品の機能性訴求やラベル表示の根拠としても、菌数測定の信頼性は重要です。サンプリング・測定頻度・表示整合・検査機関選びの4観点を整備すれば、継続的な品質保証が実現します。

ビフィズス菌の検査でご不明な点があれば、AHCまでお気軽にご相談ください。


外部参考資料
・国際標準化機構「ISO 29981 / IDF 220 – Milk products – Enumeration of presumptive bifidobacteria」(ISO公式)
・厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」(e-Gov法令検索)

ビフィズス菌の検査方法をISO 29981準拠で解説。TOSムピロシン培地・嫌気培養条件・乳酸菌との識別など製造者向け実務ガイド。

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