MPN法とはどのような方法ですか。

 

食品中の微生物検査:MPN法とは?

食品中の微生物検査には、様々な方法があります。その中でも、MPN法は細菌数推定に広く用いられている手法です。MPN法の概要、原理、そして食品衛生における重要性、検出下限についても説明します。

MPN法とは?

MPN法は、「Most Probable Number」の略で、日本語では「最確数法」と訳されます。この方法は、検体に含まれる細菌数を確率論的に推定する方法です。具体的には、検体を連続希釈し、複数の試験管に接種培養します。そして、各希釈段階で陽性反応を示した試験管の出現率に基づいて、最も可能性の高い細菌数を推定します。

原理

以下の2つの統計学的な概念に基づいています。

  1. ポアソン分布: 希釈された検体中の細菌は、ランダムに分布する
  2. 最尤推定: 観測データに基づいて、最も可能性の高いパラメータ(この場合、細菌数)を推定する

MPN法では、各希釈段階で陽性反応を示した試験管の数を「陽性管数」と呼び、この陽性管数に基づいて、ポアソン分布を用いて最尤推定を行います。

利点

MPN法には、以下の利点があります。

  • 簡便性: 比較的シンプルな操作で実施できる
  • 経済性: 培養試験に必要な試薬や培地の量が少なくて済む
  • 検出限界の低さ: 他の方法と比べて、低い細菌数でも検出できる

これらの利点により、MPN法は食品中の大腸菌群、サルモネラ菌、大腸菌O157などの細菌検査に広く用いられています。

注意点

MPN法は確率論的な推定方法であるため、以下の点に注意する必要があります。

  • 推定値の精度: 検体の種類や状態、培養条件などによって、推定値の精度が左右される
  • 熟練技術の必要性: 正確な結果を得るためには、熟練した技術者による操作が必要

検出下限

検出下限は、一般的に30/100gとされています。これは、100gの検体を3倍希釈した段階で、3本全ての試験管が陰性になった場合、30以下と推定されることを意味します。

食品衛生における重要性

食品中の微生物は、食中毒の原因となる可能性があります。そのため、食品衛生上、微生物検査は非常に重要です。食品中の細菌数を迅速かつ簡便に推定できるため、食品安全確保に大きく貢献しています。

まとめ

MPN法は、食品中の細菌数を推定する方法として広く用いられている手法です。

この方法は、簡便で経済的であるだけでなく、検出限界も低いため、食品衛生上重要な役割を果たしています。

参考文献

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