📋 こんなご相談をよくいただきます
- 賞味期限を1年で考えているが、1年待たずに根拠を出したい。
- 取引先への提出期限があり、保存試験が間に合わない。
- 加速試験で何日分まで見込めるのか知りたい。
- 加速試験のデータだけで期限を決めてよいのか知りたい。
加速試験 賞味期限は、期限設定の試験期間を縮めるための方法です。
賞味期限の根拠は、その期間だけ保存して品質を確かめるのが基本です。
しかし、期限が半年や1年の商品では、試験だけで1年かかります。
そこで、高い温度で保存して品質の変化を早める方法が使われます。
ただし、何にでも使える方法ではありません。
本記事では、使える範囲と限界を解説します。
期限設定の全体像は、賞味期限の設定方法をご覧ください。
加速試験の考え方
温度が高いほど、食品の中で進む化学変化は速くなります。
この性質を利用して、短い期間で先の状態を見ます。
| 項目 | 内容 |
| 前提 | 温度が上がると、化学変化の速度も上がる |
| 目安 | 温度が10℃上がると、速度はおよそ2〜3倍になるとされる |
| 使い方 | 高い温度で保存し、実際の保存期間に換算する |
| 位置づけ | 換算値は目安であり、実際の保存とは差が出ることがある |
倍率は商品によって異なります。
同じ温度でも、油脂の多い商品と乾燥品では変化の進み方が違います。
そのため、換算の倍率をあらかじめ決め打ちにはできません。
加速できるもの、できないもの
ここが加速試験のいちばん重要な点です。
| 対象 | 加速試験との相性 |
| 油脂の酸化(酸価・過酸化物価) | 向く。温度で進み方が変わる化学変化のため |
| 色・風味の変化 | 向く。褐変や香りの劣化を早めに確認できる |
| 水分の移動・固さの変化 | 条件による。包装や温度帯で挙動が変わる |
| 菌の増え方 | 向かない。温度を上げると増える菌の種類自体が変わる |
菌は、種類ごとに増えやすい温度が決まっています。
温度を上げると、実際の保存では増えない菌が増えることがあります。
反対に、低温で増える菌は高温では動きません。
そのため、微生物の試験は実際の保存温度で行います。
微生物試験の内容は、賞味期限の検査をご覧ください。
換算が崩れる場面
高い温度にすると、商品の状態そのものが変わることがあります。
油脂が溶ける、澱粉の状態が変わる、包装が耐えられないといった場合です。
こうなると、実際の保存では起きない変化を見ていることになります。
そのため、どの温度まで上げてよいかは商品ごとに決めます。
試験の組み方
| 決めること | 内容 |
| 保存する温度 | 実際の保存温度と、それより高い温度の2条件を置くのが基本です。 |
| 測る時点 | 開始時と、その後の複数時点で測ります。変化の向きを見るためです。 |
| 測る項目 | 何が先に悪くなるかで決めます。油脂中心なら酸価・過酸化物価です。 |
| 検体の数 | 条件数×時点数だけ必要です。早めにご相談ください。 |
| 光の影響 | 店頭の照明で劣化する商品では、光を当てる条件も置けます。 |
当社では、常温帯のほか、40℃の加速条件と光照射の条件をご用意できます。
油脂の劣化の指標は、酸価・過酸化物価で解説しています。
加速試験だけで期限は決められない
加速試験は、期限設定を早めるための材料です。
そのため、次の点をふまえて使います。
| 考え方 | 内容 |
| 微生物は実温度で見る | 衛生面の根拠は、実際の保存温度での試験で確かめます。 |
| 安全係数を掛ける | 換算で出た日数に、余裕を見た係数を掛けて期限にします。 |
| 実保存で裏づける | 先に加速で仮の期限を置き、実際の保存試験を並行して進める形が取れます。 |
| 決めるのは製造者 | 期限を決めるのは製造者です。当社は判断材料をご提供します。 |
AHCの対応範囲
| 内容 | 対応 |
| 検体の保管(常温帯・加速・光照射) | 自社で対応 |
| 微生物試験 | 自社で対応 |
| 酸価・過酸化物価 | 自社で対応 |
| 水分活性・pH | 自社で対応 |
加速の条件で保管する場合、保管料が別途かかります。
👥 こんな方からのご相談を承ります
- 長い賞味期限の新商品を開発している方
- 取引先への提出期限が迫っている品質保証の方
- 焼菓子・乾燥品・粉末など、油脂の劣化が気になる商品の製造者
- 小規模事業者で、初めて期限設定を行う方
5ステップで進む検査の流れ
🏢 株式会社AHCについて
1977年創業の食品微生物検査ラボとして、賞味期限設定の根拠となる保存試験を全国対応で承ります。当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。費用は項目数と検体数により変わるため、個別にお見積りいたします。関連記事:賞味期限の設定方法 / 賞味期限の検査 / 賞味期限設定の依頼ガイド
まとめ
加速試験は、高い温度で保存して品質の変化を早める方法です。
油脂の酸化や色・風味の変化には向いています。
一方、菌の増え方は温度で性質が変わるため加速できません。
換算値は目安であり、実際の保存試験とあわせて使います。
お問い合わせフォーム、またはお電話(027-253-1515)でご連絡ください。
外部参考資料
