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GC/MS/MS 異臭分析|高感度検出の仕組み

# GCMSMS 異臭分析|高感度検出の仕組みと選ばれる理由

GC/MS/MS による異臭分析は、食品中のごく微量の異臭成分を検出するための最新分析技術です。

従来のGC/MSよりも高感度で、食品のような夾雑物が多い試料でも正確な同定と半定量が可能です。

この記事では、技術的な仕組み、MRM分析の優位性、SIM分析やScan分析との違いを解説します。

検査全体の流れは異臭分析 150項目の検査ガイド、実務的な対応は食品のクレーム異臭|原因調査と対応をご参照ください。

GC/MS/MSという分析装置の特徴

「トリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計」の略称です。GCとMSを3段階で組み合わせた装置です。

通常のGC/MSに比べて、はるかに高感度・高選択性の分析が可能です。

GC(ガスクロマトグラフ)は、混合物を成分ごとに分離する装置です。

気化した成分がカラムという細い管を通る速度の違いで分離されます。異臭成分のように、たくさんの化合物が混在する試料に対して有効です。

MS(質量分析計)は、分離された成分を質量に基づいて検出します。分子の大きさで化合物を識別します。ここまでは通常のGC/MSと同じ構造です。

GC/MS/MSでは、このMSが3段階で構成されています。第1の四重極で目的イオンを選択し、第2のセルで衝突させて壊し、第3の四重極で生成物を検出します。

これがMRM分析(Multiple Reaction Monitoring)の原理です。

この3段階の仕組みにより、食品中の夾雑成分(油や糖類、香料など)の影響を排除できます。結果として、微量の異臭成分でも正確に検出できるのが最大の強みです。

なぜMRM分析が選ばれるのか

異臭分析の現場では、SIM分析やScan分析より、MRM分析が採用されることが多くなっています。理由は検出感度と選択性の両方です。

Scan分析は、広範囲の質量を一斉にスキャンする方法です。未知の化合物を同定するには適しています。

しかし、食品のような夾雑物が多い試料では、目的成分のピークが埋もれて検出できない場合があります。

SIM分析(Selected Ion Monitoring)は、特定のイオンだけを監視する方法です。Scan分析より感度が高くなります。

ただし、夾雑物の中に同じ質量のイオンがあると、分離できず誤同定のリスクがあります。

MRM分析は、目的化合物の「親イオン→娘イオン」という特定の変化だけを検出します。

質量の2段階フィルターにより、夾雑物の影響を大幅に削減できます。つまり、微量成分でも高い信頼性で検出可能です。

たとえば、カビ臭の原因物質である2,4,6-トリクロロアニソールの臭気閾値は0.001pg/mgと極めて低い値です。

SIM分析では検出感度不足で見逃してしまうケースがあります。一方、MRM分析なら閾値レベルの微量成分も確実に検出できます。

食品の異臭分析では、微量成分の検出可否が原因究明の成否を分けます。そのため、MRM分析対応のGC/MS/MSが業界標準となりつつあります。

前処理方法の選択がカギ

GC/MS/MS分析では、前処理方法の選択が結果の質を大きく左右します。主な前処理は3種類あります。

SPME法(固相マイクロ抽出法)は、最も汎用的な前処理です。専用のファイバーを試料に暴露し、においの成分を選択的に吸着させます。液体・固体の両方に対応します。食品の異臭分析では標準的に使われる方法です。

HS法(ヘッドスペース法)は、密閉容器内の気相部分を直接採取する方法です。揮発性の高い成分に向いています。前処理操作がシンプルで、迅速な分析が可能です。ただし、抽出効率はSPME法より低めです。

TD法(熱脱着法)は、MonoTrapという吸着材に成分を集め、高温で脱着させる方法です。抽出効率と検出感度が最も高く、微量成分の検出に最適です。ただし、操作が複雑で消耗品コストもかかります。

目的に応じた選択が重要です。一般的な異臭分析ならSPME法で十分です。揮発性の高い溶剤臭ならHS法、微量の特殊成分ならTD法という使い分けが原則となります。

実際の検査では、異臭の予想される種類や試料の性質に応じて、最適な方法を選びます。AHCを窓口にしていただければ、外注先の公的分析機関と連携して最適な前処理を提案します。

Scan分析との組み合わせで漏れをなくす

高感度のMRM分析にも弱点があります。事前にリスト化された150種類の化合物しか検出できません。リスト外の新しい化合物は見逃してしまう可能性があります。

そこで、MRM分析とScan分析を同時実施する手法が有効です。MRMで既知の150項目を高感度スクリーニング、Scanで未知成分の広範囲スキャン、という2段階体制です。

Scan分析ではピーク形状を見て、正常品と異臭品を比較します。

異臭品だけにあるピーク、あるいは異常に大きくなったピークがあれば、未知成分の候補として調査対象とします。

このピークの質量情報をライブラリデータベース(NIST等)と照合することで、リスト外の化合物も同定できる場合があります。

たとえば、炭化水素類(ドデカン等)、アルデヒド類、フラン類などがこの手法で同定されています。

つまり、MRM分析とScan分析の同時実施は、既知成分と未知成分の両方をカバーする最強の組み合わせです。

AHCが提携する群馬県産業技術センターの異臭分析システムは、この同時分析に標準対応しています。

AHCが窓口になるメリット

株式会社AHCはISO/IEC 17025認定の食品検査ラボです。GC/MS/MSによる異臭分析は外注ですが、AHCを窓口にすることで独自の価値があります。

第一のメリットは、微生物検査との並行対応です。食品の異常はにおいだけでなく、微生物汚染も関係していることが多くあります。AHC内製の一般生菌数・大腸菌群・カビなどの細菌検査と、異臭分析を並行実施できます。

第二のメリットは、検査戦略の提案です。「この症状ならまず150項目スクリーニング、結果次第で追加の特殊分析」という段階的な検査設計を提案できます。全てのクレームで最初から高額検査をする必要はありません。

第三のメリットは、結果の専門解釈です。化学分析の結果を、食品製造の現場視点で解釈します。

「この成分は包装材由来」「これは原料段階の問題」といった実務的な切り分けができます。

第四のメリットは、地域連携によるスピードです。AHCと外注先の群馬県産業技術センターは同じ群馬県内にあります。検体移送が迅速で、検査品質の維持に貢献します。

食品の異臭でお困りの品管担当者の方は、まずはお気軽にお問い合わせフォームまたは027-253-1515までご相談ください。

外部参考リンク

日本分析化学会 – 分析技術の専門学会

GC/MS/MS 異臭分析の高感度MRM技術、SIM/Scan分析との違い、SPME前処理を解説。AHCの微生物検査との並行対応で総合評価。

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