📋 こんなご相談をよくいただきます
- しじみエキスのオルニチン量を、原料規格どおりか確かめたい。
- 「しじみ○個分のオルニチン」と表示したいが、根拠となる数値がない。
- きのこの品種によってオルニチン量がどれだけ違うのか比べたい。
- 機能性表示食品の関与成分として、含有量の裏づけが要る。
オルニチン分析は、食品に含まれる遊離オルニチンを定量する分析です。オルニチンはタンパク質を構成しないアミノ酸で、遊離の形で存在します。そのため遊離アミノ酸分析の枠組みで測定し、他のアミノ酸と同時に把握することもできます。
しじみ、ぶなしめじ、えのきたけ、キハダマグロなどに含まれ、健康食品では「しじみ○個分」という形で訴求されることの多い成分です。この記事では、測定の考え方と、比較や表示に使うときの注意点を整理します。
オルニチン分析が必要になる場面
| 場面 | 目的 | 必要になるデータ |
| 原料の受入・規格確認 | しじみエキス等の規格適否 | 規格値との比較、ロット間のばらつき |
| 「○個分」表示の根拠づくり | 換算の元になる数値を揃える | 原料側と製品側の両方の実測値 |
| 機能性表示食品の届出 | 関与成分の含有量を裏づける | 1日摂取目安量あたりの含有量 |
| 品種・処理条件の比較 | きのこの品種や冷凍処理の効果を見る | 同一手法での横並びデータ |
| 賞味期限内の安定性 | 保存中に減らないかを見る | 保存期間ごとの経時データ |
とくに相談が多いのが「○個分」の表示です。この表現は、原料に含まれる量と、比較対象となる食材1個あたりの量、両方の数値がないと成り立ちません。片方だけでは換算できないため、どちらも測っておく必要があります。
オルニチンとは何か
オルニチンは炭素5個の塩基性アミノ酸で、体内では尿素回路の中間体として知られています。食品中では遊離アミノ酸として存在し、タンパク質の一部にはなりません。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | 非タンパク質性アミノ酸。遊離の形で存在する |
| 関連する成分 | アルギニン、シトルリンと同じ代謝経路上にある |
| 主な含有食品 | しじみ、ぶなしめじ、えのきたけ、キハダマグロ、チーズ |
| 増える条件 | 冷凍・解凍、熟成など、細胞の破壊を伴う処理 |
| 分析上の性質 | 紫外部の吸収が弱く、誘導体化して測る |
分析にあたって押さえておくべき点は次のとおりです。
- 加水分解する分析法では測れません。総アミノ酸分析ではアルギニンからオルニチンが生じることがあるため、遊離アミノ酸として抽出して測ります。
- 処理によって増えます。しじみを冷凍すると増えるという知見が知られています。原料の状態が変われば値も変わるため、比較する試料は処理条件を揃えます。
- アルギニン・シトルリンと併せて見ると理解が進みます。同じ経路上の成分なので、三つ揃えると変化の方向が読めます。
- 塩基性アミノ酸のため、分離条件に注意が要ります。他の塩基性アミノ酸と重なりやすく、条件設定が結果を左右します。
主な分析方法
| 分析法 | 仕組み | 特徴 |
| HPLC(誘導体化) | 試薬で標識し、分離して検出する | 他の遊離アミノ酸と同時に測れる |
| アミノ酸自動分析計 | イオン交換で分離し比色定量する | アミノ酸分析の標準的手法 |
| LC-MS/MS | 質量で選択的に検出する | 微量域に強く、夾雑の多い試料で有利 |
抽出の条件を揃えることが要点
オルニチンの測定でつまずくのは、機器での測定より抽出の段階です。遊離アミノ酸は水や希酸に溶けますが、試料が油脂やタンパク質を多く含むと回収率が落ちます。また、粉砕から抽出までに時間がかかると、残存する酵素の働きで値が動くことがあります。
比較を目的とする場合は、粉砕の粒度、抽出液の量、抽出時間を全検体で揃えることが前提になります。別々の日に測った値を並べて増減を論じると、判断を誤ります。比べたい試料はまとめてお送りください。
表示に使う前に確認すること
- 栄養成分表示の義務項目ではありません。任意表示の成分にあたります(栄養成分表示のガイド)。
- 「しじみ○個分」の換算には、比較対象の設定根拠が要ります。1個あたりの重量、可食部の割合、産地や季節による差をどう扱うかまで決めておく必要があります。
- 機能性表示食品として届け出る場合は、関与成分の分析方法を資料に記載します。どの手法で測ったかが問われるため、依頼時に確認してください。
- 制度の詳細は消費者庁の公表資料が一次情報です。
依頼のポイントと実務
| ポイント | 確認したいこと |
| 単独か併せてか | オルニチン単独か、遊離アミノ酸全体を見るか |
| 表示単位 | 100gあたりか、1食あたりか、1日摂取目安量あたりか |
| 検体の状態 | 生鮮か、冷凍か、乾燥エキスか。値が変わります |
| 比較の設計 | 比べる試料はまとめて送り、同じ回で測る |
| 換算の前提 | 「○個分」を出すなら、比較対象も測るか決める |
👥 こんな方からのご相談を承ります
- しじみエキス・貝類加工品を扱う原料商社、健康食品メーカーの方
- きのこの生産者、きのこ加工品の製造者の方
- 水産加工品で成分を訴求されている方
- サプリメントの受託製造、企画開発をされている方
- 機能性表示食品の届出資料を準備されている方
5ステップで進む分析の流れ
AHCの対応範囲
当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。
オルニチンは遊離アミノ酸分析の枠組みで測定します。アルギニン・シトルリンを含む他の遊離アミノ酸と同時にご依頼いただくと、代謝経路上の変化まで読み取れます。費用は項目数と検体数により変わるため、個別にお見積りいたします。
なお、ここで述べた挙動は一般的な食品を前提とした整理です。実際の検体では、共存する成分や加工履歴によって抽出効率が変わることがあります。エキス製剤や配合品など組成が特殊なものは、事前にご相談ください。
🏢 株式会社AHCについて
1977年創業の食品検査ラボとして、微生物検査と成分分析を全国対応で承っています。関連記事: 遊離アミノ酸分析 / 機能性アミノ酸 BCAA / タンパク質分析 / 成分分析サービス
まとめ
オルニチンは、原料そのものの量より「どう処理したか」で値が動く成分です。冷凍や熟成といった工程で増えるため、原料の状態を揃えずに比較すると、品種の差なのか処理の差なのか分からなくなります。
また「○個分」という表現を使うなら、自社製品の値だけでは足りません。比較対象の値も同じ手法で測って初めて成り立つ数字です。表示の設計段階で、どこまで測るかを決めておくことをお勧めします。
測定範囲の設計についてのご相談は、お問い合わせフォームまたはお電話(027-253-1515/平日8:30〜17:30)へお願いします。
外部参考資料
