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タンパク質の分析方法|ケルダール法と燃焼法の選び方

タンパク質分析は、栄養成分表示の義務5項目の1つです。本記事では2つの公定法を整理します。検査計画の参考にお役立てください。

タンパク質分析は、食品の栄養成分表示で必須の項目です。食品表示基準では2つの公定法が認められています。具体的にはケルダール法と燃焼法です。

本記事では、両試験法の原理と特徴を整理します。さらに、窒素・タンパク質換算係数の選び方も解説します。検査依頼前の検討資料としてご活用ください。

よくお寄せいただくご相談

  • 食品表示用のタンパク質値を、どの方法で測定すべきか判断したい
  • ケルダール法と燃焼法で結果に差が出るか確認したい
  • 自社製品に適した窒素・タンパク質換算係数を知りたい
  • 少量サンプルでもタンパク質分析を依頼できるか相談したい

タンパク質分析の基本|窒素換算法の考え方

窒素を測ってタンパク質を算出する仕組み

タンパク質の分析は、間接的な方法です。直接タンパク質を測定するのではありません。具体的には食品中の全窒素量を測ります。

つまり、タンパク質の構成要素である窒素を定量する方法です。測定した窒素量に換算係数を掛けて算出します。式は次のとおりです。

タンパク質量(g) = 窒素含有量(g) × 窒素・タンパク質換算係数

2つの公定法が存在する理由

食品表示基準では、2つの試験法が公定法として認められています。ケルダール法と燃焼法(改良デュマ法)です。なお、従前はケルダール法のみでした。

つまり、近年燃焼法が追加されました。燃焼法はJAS規格や飼料分析基準で既に採用されていた手法です。検査機関は両方の試験法に対応するのが一般的です。

ケルダール法の原理と特徴

湿式分解による窒素定量

ケルダール法は1883年に開発された古典的な手法です。具体的には3ステップで進めます。まず濃硫酸と触媒で試料を分解します。

次に、生成したアンモニアを水酸化ナトリウムで遊離させ蒸留します。最後に、ホウ酸に捕集して滴定します。これにより全窒素量が定量されます。

ケルダール法のメリット

長く公定法として採用されてきた信頼性が強みです。化学分析のため、結果の理解が容易です。さらに、サンプル量を多く取れる装置のバリエーションが豊富です。

つまり、不均一な試料でも対応しやすい特長があります。たとえば固形と液体が混在する食品でも、適切な前処理で測定できます。

ケルダール法の留意点

一方で、危険な試薬を扱います。具体的には濃硫酸や水酸化ナトリウムが必要です。さらに、分解から滴定まで工程が多く時間がかかります。

なお、ケルダール法は食品添加物の試験でも採用されています。詳細はJECFA規格〜食品添加物の微生物限度試験法もご参照ください。

燃焼法(改良デュマ法)の原理と特徴

高温燃焼で窒素ガスを検出

燃焼法は1831年にDumasが発明した手法の改良版です。具体的には試料を高温で燃焼させます。発生した窒素ガスを熱伝導度検出器(TCD)で測定します。

つまり、化学薬品を使わない物理的な方法です。最高で約950℃の高温で瞬時に分解します。検出までは数分で完了します。

燃焼法のメリット

まず、所要時間が短いのが特長です。1検体あたり数分で測定できます。さらに、自動化が進んでおり連続多検体測定が可能です。

次に、危険な試薬を使いません。濃硫酸の使用が不要のため、作業の安全性が高まります。検査機関の労働環境改善にも寄与します。

燃焼法の留意点

サンプル量は少なめです。具体的には100〜200mg程度です。そのため、均一なサンプル調製がより重要になります。

たとえば不均一な食品では、十分な粉砕と混合が必要です。ガス供給(酸素・ヘリウム等)も継続的に確保する必要があります。

つまり、燃焼法は食品分析だけでなく飼料・農産物分析でも標準的に使われます。

輸出向け製品の規格対応や、出荷判定の各種試験(大腸菌群 検査の方法・基準値・依頼先ガイド等)とあわせて検査計画を組むケースも一般的です。

2つの試験法の使い分け

両試験法の特徴を比較表で整理しました。試料の性質や用途に応じて選びます。

比較項目ケルダール法燃焼法(改良デュマ法)
原理湿式分解 → 蒸留 → 滴定高温燃焼 → 窒素ガス検出
サンプル量0.5〜2g100〜200mg
所要時間数時間数分
主な試薬濃硫酸・水酸化ナトリウム・触媒不要(ガスのみ)
不均一試料の扱い対応しやすい均一化が重要
自動化限定的高度に自動化
公定法対応食品表示基準・各種公定書食品表示基準・JAS規格・飼料分析基準

出典:食品表示基準別表第9、JAS規格

窒素・タンパク質換算係数の選び方

食品ごとに異なる係数

窒素・タンパク質換算係数は、食品ごとに異なります。つまるところ、係数の選定や複合食品の取り扱いは専門的な判断を要します。なお、関連する栄養成分試験については栄養成分表示の義務5項目もあわせてご覧ください。乳製品の規格基準については乳酸菌飲料の規格基準で扱っています。

具体的には主要食品の係数は次のとおりです。

食品分類換算係数備考
一般食品(汎用)6.25特定の係数がない食品で使用
牛乳・乳製品6.38カゼインの組成に由来
5.95主要穀類
小麦(全粒粉)5.83精白粉は5.70
大豆5.71豆腐・納豆等の原料
肉類・魚類6.25汎用係数と同じ
マッシュルーム4.17非タンパク態窒素が多い

出典:日本食品標準成分表、FAO/WHO換算係数

係数を間違えると表示値も狂う

係数の選定ミスは、表示値の精度を直接損ないます。たとえば乳製品で6.25を使うと過小評価になります。具体的には正しい値より約2%低く出ます。

つまり、係数の選定は重要です。検査依頼時には、対象食品の特性を正確にお伝えください。

非タンパク態窒素の補正

一部の食品では補正が必要です。たとえば茶類はカフェイン由来の窒素を含みます。具体的にはコーヒー・ココアも同様です。

そのため、これらの食品では窒素量から該当成分の窒素を差し引きます。日本食品標準成分表ではこの処理が行われています。

タンパク質分析の検査依頼で押さえておきたい4つのポイント

タンパク質分析の検査をご依頼いただく際、結果の精度を高めるためにお伝えいただきたい情報があります。具体的には4つのポイントです。

No.ご相談・ご共有いただきたい項目お伝えいただきたい情報
1試験法のご希望ケルダール法 or 燃焼法 or おまかせ(食品特性で提案)
2食品の種類と原料構成適切な窒素・タンパク質換算係数を選定するため
3用途・目的栄養成分表示・JAS適合確認・社内品質管理など
4サンプルの状態固形・液体・粉末の別、保存条件、想定タンパク質量

試験法選択は食品特性で判断

試験法をどちらにするか迷う場合は、ご相談ください。食品の特性に応じて適切な方法をご提案します。たとえば不均一な食品はケルダール法が向きます。

換算係数は食品分類で決まる

換算係数の選定は、食品分類で決まります。原料構成をお伝えいただくと正確に選定できます。複合食品の場合も対応可能です。

関連する栄養・衛生試験との組み合わせ

タンパク質分析は、他の栄養成分や食品衛生試験と組み合わせるケースが多くあります。

たとえば、栄養成分表示の義務5項目を一括でご依頼いただくのが一般的です。さらに、乳製品では乳酸菌飲料の規格基準に基づく試験も並行で実施します。

機能性関与成分の試験では、たんぱく質分析とビフィズス菌の検査方法を組み合わせることもあります。プロバイオティクス製品の規格適合確認に有用です。

AHCで対応している関連試験

AHCでご相談いただけるタンパク質分析と関連試験を整理しました。

試験項目対応可否備考
タンパク質分析(ケルダール法)対応食品表示基準準拠
タンパク質分析(燃焼法)要相談食品種類に応じてご提案
栄養成分表示の義務5項目セット対応熱量・タンパク質・脂質・炭水化物・食塩相当量
アミノ酸組成分析要相談機能性訴求向け

※具体的な対応可否は個別にお問い合わせください。

こんな方からのご相談を承っています

タンパク質分析は、以下のような方々からのご相談実績があります。

  • 加工食品メーカーで栄養成分表示の作成を進めている方
  • 乳製品・畜肉製品で正確なタンパク質値を求める方
  • OEM受託工場で取引先向けの試験成績書が必要な方
  • 「高タンパク」強調表示の根拠試験をご検討の方
  • 新商品開発で原料配合の栄養設計をご検討の方

ご相談から納品までの流れ

初めてご利用の方にも分かりやすい流れでご案内しています。

  1. お問い合わせ:まず、フォームまたはお電話でご相談
  2. 試験設計のご提案:次に、製品特性・用途をお伺い
  3. お見積もり:そのうえで、検査項目・サンプル数・納期を提示
  4. 検体送付:さらに、送付方法と必要量をご案内
  5. 試験実施・結果報告:そして、成績書を発行

AHCについて

AHCは1977年創業の食品検査ラボです。タンパク質分析を含む栄養成分試験を、製品特性に応じてご提案しています。

具体的な検査項目・サンプル数・納期は個別見積りにてご相談ください。栄養成分表示の作成段階からのご相談を歓迎します。

関連記事:栄養成分表示の義務5項目乳酸菌飲料の規格基準ビフィズス菌の検査方法JECFA規格・食品添加物の微生物限度試験

お問い合わせ:お問い合わせフォーム
お電話:027-253-1515(平日 8:30〜17:30)

まとめ|タンパク質分析の試験法を理解する

タンパク質分析は、窒素を測ってタンパク質を算出する間接的な方法です。具体的にはケルダール法と燃焼法の2つが公定法です。

つまり、それぞれに特徴があります。サンプル量・所要時間・自動化レベルが異なります。さらに、食品ごとに換算係数も変わります。

検査依頼時には、食品特性と用途をお伝えください。タンパク質分析でご不明な点があれば、AHCまでお気軽にご相談ください。


外部参考資料
・消費者庁「食品表示基準」(公式)
・文部科学省「日本食品標準成分表」窒素・タンパク質換算係数

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