真菌(しんきん)とは、キノコ、カビ、酵母を含む真核生物のことを指します。細胞壁にキチンを含み、光合成をせずに外部から有機物を吸収する微生物です。
カビと酵母の分類的な近さ:
カビと酵母はどちらも真菌に属し、分類学的には非常に近い生物です。主成分とする細胞壁を持ち、従属栄養性であるという共通点があります。しかし、それぞれが異なる生態や役割を持ち、特定の特性により分類されます。
- カビ(Mold): 多細胞性で、糸状の菌糸を形成する真菌。
- 酵母(Yeast): 主に単細胞性で、発酵によりエネルギーを生成する真菌。
同じ培地で検出が可能:
カビと酵母は、同じ培地で培養することが可能です。通常、ポテトデキストロースアガー(PDA)などの培地を使用します。これらの培地は、真菌の成長を促進するために適した培地です。
- 共通の培地使用の利点:
- 効率的な検出: 同時に両者を検出でき、効率的な検査が可能。
- コスト削減: 同じ試験環境を利用することでコストが削減される。
検出上での区別の意味合い:
当社の細菌検査では、真菌数を「総真菌数(カビ数/酵母数)」と表記することがあります。衛生管理上で、カビと酵母を区別して報告することが重要になる場合があります。
- カビの区別とその意味:
- 腐敗の指標: カビの検出は、食品腐敗や環境の汚染の可能性を示します。
- カビ毒: 一部のカビは有毒なマイコトキシンを生成するため、健康被害のリスクがあります。
- アレルギー反応: カビ胞子はアレルギー反応を引き起こす可能性があるため。
- 酵母の区別とその意味:
- 品質管理: 酵母の検出は、発酵食品における品質の指標となる場合があります。
- 意図しない発酵の制御: 不適切な場所での酵母の繁殖は、食品の汚染や品質低下を引き起こすため、発酵制御が必要です。
- 健康への影響: 通常は無害ですが、カンジダ・アルビカンスのようにリスクの高い酵母も存在します。
当社の真菌検査では、報告書にカビと酵母を区別して表記することにより、より精密な衛生管理とリスクアセスメントを行うことができます。これにより、製品の安全性と品質を確保し、顧客への安心を提供します。
参考
食品におけるカビと酵母の役割 – 日本食品化学学会