食品製造用水の定期検査26項目
飲食店として新たに営業許可を申請する時など、食品衛生法に基づき、食品製造用水が飲用に適しているかを確認するための検査です。
食品衛生法に基づく検査
食品製造用水は、食品の衛生管理において非常に重要な役割を果たします。
検査の実施と結果の保存が義務付けられています。
検査の頻度
検査の頻度は、食品の取り扱い品目や施設の規模などによって異なります。一般的には、年1回以上の検査が求められますが、より頻繁な検査が必要な場合もあります。
検査項目と基準値
検査26項目の基準値が定められています。下記の表を参考にして下さい。
検査項目 | 基準値 | 試験方法 | |
---|---|---|---|
1 | 一般細菌 | 100以下(CFU/mL) | 標準寒天培地法 |
2 | 大腸菌群 | 検出されないこと | 乳糖ブイヨン-ブリリアントグリーン乳糖胆汁ブイヨン培地法 |
3 | カドミウム | 0.01mg/L以下 | ICP法 |
4 | 水銀 | 0.0005mg/L以下 | 還元気化-原子吸光光度法 |
5 | 鉛 | 0.1mg/L以下 | ICP法 |
6 | ヒ素 | 0.05mg/L以下 | 水素化物発生-原子吸光光度法 |
7 | 六価クロム | 0.05mg/L以下 | ICP法 |
8 | シアン(シアンイオン及び塩化シアン) | 0.01mg/L以下 | イオンクロマトグラフ-ポストカラム吸光光度法 |
9 | 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 | 10mg/L以下 | イオンクロマトグラフ法 |
10 | フッ素 | 0.8mg/L以下 | イオンクロマトグラフ法 |
11 | 有機リン | 0.1mg/L以下 | 吸光光度法 |
12 | 亜鉛 | 1.0mg/L以下 | ICP法 |
13 | 鉄 | 0.3mg/L以下 | ICP法 |
14 | 銅 | 1.0mg/L以下 | ICP法 |
15 | マンガン | 0.3mg/L以下 | ICP法 |
16 | 塩素イオン | 200mg/L以下 | イオンクロマトグラフ法 |
17 | カルシウム、マグネシウム等(硬度) | 300mg/L以下 | 滴定法 |
18 | 蒸発残留物 | 500mg/L以下 | 重量法 |
19 | 陰イオン界面活性剤 | 0.5mg/L以下 | 吸光光度法 |
20 | フェノール類 | 0.005mg/L以下 | 吸光光度法 |
21 | 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) | 10mg/L以下 | 滴定法 |
22 | pH値 | 5.8以上8.6以下 | ガラス電極法 |
23 | 味 | 異常でないこと | 官能法 |
24 | 臭気 | 異常でないこと | 官能法 |
25 | 色度 | 5度以下 | 透過光測定法 |
26 | 濁度 | 2度以下 | 積分球式光電光度法 |
検査項目と基準値の詳細
一般細菌
- 基準値:100以下 (CFU/mL)
- 概要:一般細菌は、いわゆる雑菌であり、その数が多い場合は水質の汚染を示唆します。100 CFU/mL以下に基準値が設けられています。
大腸菌群
- 基準値:検出されないこと
- 概要:大腸菌群は、汚染を示す指標菌です。飲料水中には検出されないことが基準です。
カドミウム
- 基準値:0.01mg/L以下
- 概要:カドミウムは有毒な重金属であり、その濃度が0.01mg/L以下であることが求められます。
水銀
- 基準値:0.0005mg/L以下
- 概要:水銀は有毒であり、その濃度が0.0005mg/L以下であることが求められます。
鉛
- 基準値:0.1mg/L以下
- 概要:鉛は有害であり、その濃度が0.1mg/L以下であることが求められます。
ヒ素
- 基準値:0.05mg/L以下
- 概要:ヒ素は有毒であり、その濃度が0.05mg/L以下であることが求められます。
六価クロム
- 基準値:0.05mg/L以下
- 概要:六価クロムは有毒であり、その濃度が0.05mg/L以下であることが求められます。
シアン(シアンイオン及び塩化シアン)
- 基準値:0.01mg/L以下
- 概要:シアンは非常に有毒であり、その濃度が0.01mg/L以下であることが求められます。
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
- 基準値:10mg/L以下
- 概要:高濃度での摂取は健康に有害な影響を及ぼし、その総量は10mg/L以下であることが求められています。
フッ素
- 基準値:0.8mg/L以下
- 概要:フッ素は、0.8mg/L以下でなければいけません。
有機リン
- 基準値:0.1mg/L以下
- 概要:有機リンは、0.1mg/L以下であることが基準です。
亜鉛
- 基準値:1.0mg/L以下
- 概要:亜鉛は、1.0mg/L以下であることが基準です。
鉄
- 基準値:0.3mg/L以下
- 概要:鉄は、0.3mg/L以下であることが基準です。
銅
- 基準値:1.0mg/L以下
- 概要:銅は1.0mg/L以下であることが基準です。
マンガン
- 基準値:0.3mg/L以下
- 概要:マンガンは、0.3mg/L以下であることが基準です。
塩素イオン
- 基準値:200mg/L以下
- 概要:塩素イオンは、200mg/L以下であることが基準です。
カルシウム、マグネシウム等 (硬度)
- 基準値:300mg/L以下
- 概要:硬度が高いと、水が「硬い」感じがし、味や機器の性能に影響を与えるため、300mg/L以下が基準です。
蒸発残留物
- 基準値:500mg/L以下
- 概要:蒸発残留物は水中に含まれる不揮発性物質の総量を示し、500mg/L以下との基準です。
陰イオン界面活性剤
- 基準値:0.5mg/L以下
- 概要:陰イオン界面活性剤(洗剤成分)は、0.5mg/L以下である必要があります。
フェノール類
- 基準値:0.005mg/L以下
- 概要:フェノール類は工業排水に含まれ、高い濃度で有害なため、0.005mg/L以下であることが基準です。
有機物等 (過マンガン酸カリウム消費量)
- 基準値:10mg/L以下
- 概要:有機物は微生物の繁殖を助けるため、10mg/L以下であることが基準です。
pH値
- 基準値:5.8以上8.6以下
- 概要:pH値が基準範囲内にあることで、水の腐食性やスケール形成のリスクを低減します。
味
- 基準値:異常でないこと
- 概要:水の味に異常がないことが品質を示します。
臭気
- 基準値:異常でないこと
- 概要:水の臭いに異常がないことが品質を示します。
色度
- 基準値:5度以下
- 概要:水の透明度が高いことを示します。
濁度
- 基準値:2度以下
- 概要:水の濁りの程度が低いことを示します。
注意事項
異常値が出た場合、味の検査ができないことがあります。食品製造用水の水質検査は定期的に行い、異常が認められた場合は迅速に対策を講じることが重要です。これらの項目を定期的に検査し、基準値を満たしているかを確認することで、水質を安全に保つことができます。
参考情報: