G2型は特に変異(=遺伝子の変化)を起こしやすいウイルスです。
この変異によって、以下のようなことが起こります:
免疫をすり抜けやすくなり、毎年新たな流行が起きる
従来の検出法では気づかれにくくなる
感染の広がり方や重症度が変化する可能性がある
■「変異株を検出できる」ことの意義とは?
早期に新しいウイルス型をつかまえることができるため、流行拡大を抑える手がかりになる
過去の流行パターンと比較できることで、感染源の推定やリスク管理に役立つ
食中毒事件や感染症対策における信頼性の高い調査が可能になる
たとえば、毎年インフルエンザの型が変わるように、ノロウイルスも変異することで「手強くなる」ことがあります。
そのため、「G1あるいはG2との区別だけでなく、G2であれば、どの型か(変異株かどうか)」まで把握することは有意義となります。
AHCでは、検便、食品、貝、水、ふきとり検査の検体に対応しています。
◎「GII.4」の分類とは?
ノロウイルスは以下のような階層で分類されます:
分類レベル | 例 |
---|---|
遺伝子グループ(Genogroup) | GⅠ、GⅡ、GⅢ… |
遺伝子型(Genotype) | GII.4、GII.17、GII.2など |
系統(Variant) | GII.4 Sydney、GII.4 New Orleansなど |
GII.4は、その中でも最も変異と進化が活発で、何度も流行を起こしてきた「強力な株系統」です。
■ なぜGII.4が注目されるのか?
変異しやすい:
数年ごとに少しずつ変化し、以前に感染した人でも再感染する可能性があります。世界的流行の主因:
2006年以降の大きなノロウイルス流行は、ほとんどがGII.4由来です(例:Sydney2012、NewOrleans2009 など)。検査・対策の対象:
新たなGII.4変異株の出現は、感染症対策や検査体制の強化に直結する情報です。
■ たとえるなら…
GII.4は「ノロウイルス界のインフルエンザA型H1N1」のような存在です。
つまり、毎年少しずつ姿を変えながら感染を繰り返す“流行の主犯”のようなものです。