📋 こんなご相談をよくいただきます
- 青みかんと完熟みかんで、ヘスペリジン量がどれだけ違うのかを示したい。
- 果皮を使った加工品で、どれだけ移行しているのかを確かめたい。
- 白濁の原因がヘスペリジンかどうかを判別したい。
- 機能性表示食品の関与成分として、含有量の根拠が要る。
ヘスペリジン分析は、温州みかんをはじめとする柑橘類に含まれるフラボノイド配糖体をHPLCで定量する分析です。ポリフェノール分析の一分野にあたります。
ヘスペリジンは果肉よりも果皮や薄皮(じょうのう膜)、すじの部分に多く含まれます。そのため「どこを原料にするか」で含有量が大きく変わり、未利用部位の活用という文脈で相談が増えている成分です。この記事では、部位差の扱い方と、水に溶けにくいという性質が分析にどう効いてくるかを整理します。
ヘスペリジン分析が必要になる場面
| 場面 | 目的 | 必要になるデータ |
| 収穫時期の設計 | 青みかんなど未熟果の価値を数値化する | 収穫時期別の含有量 |
| 未利用部位の活用 | 果皮・すじの原料化を検討する | 部位別の含有量比較 |
| 機能性表示食品の届出 | 関与成分の含有量を裏づける | 1日摂取目安量あたりの含有量 |
| 白濁・沈殿の原因究明 | 飲料に生じた濁りの正体を確かめる | 沈殿物の同定、定量値 |
| 原料の受入検査 | 柑橘エキスの規格適否 | 規格値との比較、ロット間のばらつき |
ヘスペリジンとは何か
ヘスペレチンに糖(ルチノース)が結合した配糖体です。ビタミンPと総称される成分群の一つに数えられることもあります。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | フラバノン配糖体。アグリコンはヘスペレチン |
| 主な含有食品 | 温州みかん、オレンジ、レモン、ゆず、青みかん |
| 多い部位 | 果皮、じょうのう膜、すじ。果汁部は少ない |
| 熟度との関係 | 未熟果のほうが多い傾向がある |
| 溶解性 | 水に溶けにくい。これが分析でも製造でも要点になる |
溶けにくさが二つの意味を持つ
ヘスペリジンは水への溶解性が低く、この性質が分析と製造の両面に影響します。
- 飲料の白濁原因になります。柑橘系飲料に生じる白い濁りや沈殿が、ヘスペリジンの析出であることがあります。原因を特定できれば、殺菌条件や配合の見直しにつながります。
- 抽出条件で回収率が変わります。水では十分に抽出できないため、アルカリ性の条件やジメチルスルホキシドを含む溶媒系を使います。抽出条件が違えば値も変わるので、比較する試料は条件を揃えます。
- 溶解性を高めた原料があります。糖を付加した誘導体が加工原料として使われることがあり、これは通常のヘスペリジンとは別の成分として扱う必要があります。
白濁のご相談では、まず沈殿がヘスペリジンかどうかの見極めが先です。柑橘飲料の濁りには他の原因もあり得ますので、現物をお送りいただいたうえで検討します。
部位と熟度による違い
| 対象 | 含有の傾向 | 想定される訴求 |
| 青みかん(未熟果) | 高い水準 | 摘果果実の原料化、収穫時期の設定 |
| 果皮・陳皮 | 高い水準 | 未利用部位の活用、エキスの規格設定 |
| じょうのう膜・すじ | 果汁部より多い | 「薄皮ごと」製品の価値づけ |
| 果汁 | 搾汁方法によって変わる | 搾汁条件の設計、白濁対策 |
| サプリメント | 原料の設計による | 表示値の検証、賞味期限内の安定性 |
表示に使う前に確認すること
- 栄養成分表示の義務項目には含まれません。任意表示の成分にあたります(栄養成分表示のガイド)。
- 機能性表示食品として届け出る場合は、関与成分の分析方法を届出資料に記載します。ヘスペリジンなのか糖転移した誘導体なのかを明確にしてください。
- 部位を明示します。「みかん由来」だけでは、果汁なのか果皮なのかが分かりません。含有量の根拠として提示するなら、原料部位まで揃えます。
- 制度の詳細は消費者庁の公表資料が一次情報です。
依頼のポイントと実務
| ポイント | 確認したいこと |
| 測る部位 | 果皮、じょうのう膜、果汁、全果のどれか |
| 目的 | 含有量の把握か、白濁原因の究明か |
| 原料の種別 | ヘスペリジンか、糖転移した誘導体か |
| 比較の設計 | 収穫時期や部位を比べるなら、まとめて送付 |
| 検体の保管 | 生果は冷蔵。沈殿物は液ごと送っていただくのが確実 |
👥 こんな方からのご相談を承ります
- 柑橘の生産者、産地の農協・生産法人の方
- 果汁・柑橘飲料の製造メーカーの方
- 果皮・摘果果実の活用を検討されている方
- 健康食品・サプリメントの企画開発をされている方
- 飲料の白濁・沈殿でお困りの方
5ステップで進む分析の流れ
AHCの対応範囲
当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。
ヘスペリジンは、部位別・収穫時期別の比較を含めてお受けします。飲料の白濁については、沈殿物の状態を確認したうえで、同定と定量の進め方をご提案します。費用は項目数と検体数により変わるため、個別にお見積りいたします。
なお、ここで述べた含有の傾向は一般的な整理です。実際の検体では、品種や栽培条件、加工履歴によって値が変わります。抽出条件の設定が結果を左右する成分でもありますので、比較を目的とする場合は事前にご相談ください。
🏢 株式会社AHCについて
1977年創業の食品環境の試験ラボとして、微生物検査と成分分析を全国対応で承っています。関連記事: ポリフェノール分析 / 果実・野菜のポリフェノール / 果汁の糖分析 / 成分分析サービス
まとめ
ヘスペリジンは、果実のどこを使うかで含有量が大きく変わる成分です。果汁だけを見ていると少なく、果皮やすじまで含めると一気に増えます。摘果した青みかんや、これまで捨てていた部位に価値を見いだす動きが出ているのは、この差があるからです。
分析を依頼するときは、部位と熟度を明示してください。それだけで、出てきた数字の意味がはっきりします。飲料の白濁でお困りの場合も、まず正体を確かめるところから始めるのが近道です。
ご相談はお問い合わせフォームまたはお電話(027-253-1515/平日8:30〜17:30)へお願いします。
外部参考資料
