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ケルセチン分析|配糖体とアグリコンの定量

📋 こんなご相談をよくいただきます

  • 玉ねぎの品種によってケルセチン量がどれだけ違うのかを比べたい。
  • 外皮を使った加工品で、原料の値がどこまで残るのかを知りたい。
  • 機能性表示食品の関与成分として、含有量の根拠が要る。
  • 配糖体で報告するのか、アグリコンで報告するのか判断がつかない。

ケルセチン分析は、玉ねぎやそばなどに含まれるフラボノイドの一種をHPLCで定量する分析です。ポリフェノール分析の一分野にあたります。

この成分でつまずきやすいのは、食品中では糖が結合した配糖体として存在しているのに、表示や規格では糖の外れたアグリコンで語られることが多い点です。どちらの数値を求めているのかが揃っていないと、比較しても意味を持ちません。この記事では、その違いと測り方、依頼時に指定すべきことを整理します。

ケルセチン分析が必要になる場面

場面 目的 必要になるデータ
品種・産地の比較 高含有品種の選定根拠をつくる 同一手法での横並びデータ
機能性表示食品の届出 関与成分の含有量を裏づける 1日摂取目安量あたりの含有量
未利用部位の活用 外皮など廃棄部位の価値を数値化する 部位別の含有量比較
加工工程の設計 乾燥・加熱で残るかを確かめる 工程ごとの残存率
原料の受入検査 抽出物の規格適否 規格値との比較、ロット間のばらつき

とくに多いのが未利用部位の相談です。玉ねぎの外皮は可食部よりケルセチンが多いことが知られており、廃棄されていた部分を原料化する動きがあります。その企画を通すには、まず数値が要ります。

ケルセチンとは何か

ケルセチンはフラボノールに分類されるポリフェノールで、植物に広く存在します。食品中では糖が結合した配糖体として存在するのが普通で、糖の外れた遊離型(アグリコン)はごくわずかです。

分類 内容 特徴
アグリコン ケルセチン 糖が外れた形。規格や表示はこの形で語られることが多い
配糖体 ケルセチン配糖体(結合する糖の種類で複数ある) 食品中の主体。玉ねぎではグルコースの結合したものが多い
加工品 酵素処理した誘導体 溶解性を高めた原料として使われることがある

分析にあたって押さえておきたい性質です。

  • 黄色い色を持つ成分です。紫外可視領域に吸収があるため、HPLCで検出しやすい部類に入ります。
  • 水に溶けにくい。アグリコンは水への溶解性が低く、抽出にはアルコール系の溶媒を使います。
  • 加熱と光でゆっくり分解します。試料の保管は冷蔵・遮光が基本です。
  • 玉ねぎでは部位差が大きい。外皮、可食部の外側、内側で量が違います。どこを測るかで結果が変わるため、試料の取り方を統一します。

配糖体とアグリコン、どちらで報告するか

これが依頼時の分かれ道です。二つのやり方があり、得られる数字が違います。

やり方 前処理 得られるもの
加水分解してから測る 酸で糖を外し、すべてアグリコンに揃える 総ケルセチン(アグリコン換算)。規格や表示に使いやすい
そのまま測る 抽出のみ 配糖体ごとの個別値。加工による形の変化を追える

「ケルセチン○mg」と書かれた既存の資料を再現したい場合は、まずどちらの方法で出された数字かを確認してください。加水分解した値と、そのまま測った配糖体の合計値は一致しません。同じ試料でも数字が違って見えるため、比較の前提が崩れます。

一般には、表示や規格の照合には加水分解した総量、加工の設計には配糖体の内訳が向きます。迷う場合は、想定している提出先の記載形式に合わせるのが確実です。

含有量の傾向と表示の考え方

食品 含有の傾向 想定される訴求
玉ねぎ(可食部) 品種差が大きい。外側ほど多い傾向 高含有品種の選抜、産地表示の根拠
玉ねぎ外皮 可食部より高い水準 未利用資源の原料化、エキスの規格設定
そば ルチンが主体で、その分解物として存在する ルチンと併せて測ることが多い
りんご・ベリー類 果皮に多い 果皮を含む加工品の価値づけ
サプリメント 原料の設計による 表示値の検証、賞味期限内の安定性

表示に使う前に確認すること

  • 栄養成分表示の義務項目には含まれません。任意表示の成分にあたります(栄養成分表示のガイド)。
  • 機能性表示食品として届け出る場合は、関与成分の分析方法を届出資料に記載します。加水分解の有無まで含めて確認が要ります。
  • 「○○の△倍」といった比較表現には、比較対象も同じ手法で測った値が要ります。片方だけでは成り立ちません。
  • 制度の詳細は消費者庁の公表資料が一次情報です。

依頼のポイントと実務

ポイント 確認したいこと
報告の形式 加水分解後の総量か、配糖体の個別値か
部位の指定 外皮か可食部か。可食部なら外側と内側を分けるか
比較の設計 品種を比べるなら、まとめて送っていただくと条件が揃います
検体の保管 冷蔵・遮光。生鮮品はできるだけ早くお送りください
併せて測る項目 そばならルチン、果実なら総ポリフェノールを同時に見るか

👥 こんな方からのご相談を承ります

  • 玉ねぎの生産者、産地の農協・生産法人の方
  • 野菜加工品・エキス原料を扱うメーカー、商社の方
  • 外皮など未利用部位の活用を検討されている方
  • 健康食品・サプリメントの企画開発をされている方
  • 機能性表示食品の届出資料を準備されている方

5ステップで進む分析の流れ

STEP 1
お問い合わせ・ヒアリング
STEP 2
報告形式の確認とお見積り
STEP 3
検体の送付(依頼書を同封)
STEP 4
抽出とHPLCによる定量
STEP 5
試験報告書の発行

AHCの対応範囲

当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。

ケルセチンは、加水分解後の総量としての定量と、配糖体ごとの個別定量を目的に応じて使い分けます。他のポリフェノール類と同時にご依頼いただくこともできます。費用は項目数と検体数により変わるため、個別にお見積りいたします。

なお、ここで述べた含有の傾向は一般的な整理です。実際の検体では、共存する糖や色素、加工履歴によって抽出効率が変わることがあります。エキス製剤や配合品など組成が特殊なものは、事前にご相談ください。

🏢 株式会社AHCについて

1977年創業の食品検査ラボとして、微生物検査と成分分析を全国対応で承っています。関連記事: ポリフェノール分析 / 果実・野菜のポリフェノール / 大豆イソフラボン分析 / 成分分析サービス

まとめ

ケルセチンの分析は、測る前に「どちらの形で報告するか」を決めておくことがすべてです。加水分解して総量を出すのか、配糖体のまま内訳を見るのか。ここが揃っていないと、他社の公表値とも、自社の過去データとも噛み合いません。

もうひとつは部位です。玉ねぎのように部位差の大きい原料では、どこを測ったかで結果が変わります。比較を目的とするなら、試料の取り方を先に統一してください。

報告形式の選び方についてのご相談は、お問い合わせフォームまたはお電話(027-253-1515/平日8:30〜17:30)へお願いします。

外部参考資料

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