📋 こんなご相談をよくいただきます
- 熟成期間を延ばすと、うま味が本当に増えるのか確かめたい。
- 熟成のピークを数値で示し、商品説明に使いたい。
- 温度帯を変えたとき、菌数がどう動くかを知りたい。
- ジビエや国産牛で、独自の熟成方法の効果を評価したい。
熟成肉 分析は、熟成中の成分と菌数の変化を追う試験です。
熟成は「寝かせるほどおいしくなる」と語られがちです。
しかし、うま味成分には熟成中に増えるものと減るものがあります。
味のピークを決めるには、両方の推移を並べて見る必要があります。
あわせて、低温で保管していても菌数は時間とともに変わりえます。
本記事では、熟成を数値で評価するための項目と組み方を解説します。
成分ごとの詳しい解説は、核酸系うま味分析と遊離アミノ酸分析をご覧ください。
熟成肉の分析が必要になる場面
熟成の評価は、商品開発から販売まで幅広い段階で求められます。
| 場面 | 知りたいこと | 主な項目 |
| 新しい熟成方法の開発 | 熟成の効果が出ているか | うま味成分・菌数 |
| 熟成期間の設定 | 何日目が最適か | 複数時点のうま味成分 |
| 温度帯の比較 | 温度で変化の速さが変わるか | 条件別のうま味成分・菌数 |
| 商品説明・営業資料 | 熟成の違いを数値で示したい | うま味成分 |
| 品質管理 | ロットごとのばらつき | 一般生菌数 |
目的によって、測る項目と時点の数が変わります。
熟成中に起きる成分の変化
熟成中の肉では、主に2つの変化が同時に進みます。
1つは、筋肉のエネルギー物質が分解される変化です。
もう1つは、タンパク質が酵素で分解される変化です。
| 成分 | 熟成中の動き | 味との関わり |
| イノシン酸 | と畜後に生じ、熟成が進むとさらに分解されて減る | かつお節と同じ系統のうま味 |
| グルタミン酸 | タンパク質の分解にともなって増える | 昆布と同じ系統のうま味 |
| その他の遊離アミノ酸 | 多くが熟成とともに増える | 甘味・苦味など味の厚み |
| 一般生菌数 | 低温でも時間とともに変化しうる | 品質と衛生の指標 |
イノシン酸とグルタミン酸は逆向きに動く
イノシン酸は、筋肉のATPが分解される途中でできる成分です。
と畜後しばらくは増えますが、その後はさらに分解されていきます。
一方、グルタミン酸は熟成が進むほど増えていきます。
うま味は、この2つがそろうと強く感じられる性質があります。
そのため、片方だけを測っても熟成の良し悪しは判断できません。
両方を同じ時点で測り、推移を並べて見ることが大切です。
グルタミン酸の性質は、旨味成分グルタミン酸で解説しています。
測る項目と分析方法
AHCでは、熟成の評価に使う項目を自社で測定しています。
| 項目 | 分析方法 | 見るポイント |
| 遊離アミノ酸(18種一斉) | HPLC(蛍光検出) | グルタミン酸を含む味の全体像 |
| 核酸系うま味成分 | HPLC | イノシン酸の減り方 |
| 一般生菌数 | 平板培養法 | 熟成期間中の菌の増え方 |
| カビ・酵母数 | ポテトデキストロース寒天培地法 | 表面の状態の確認 |
核酸系うま味成分は、イノシン酸・グアニル酸・アデニル酸を測れます。
グルタミン酸とイノシン酸に絞った組み方も、ご相談いただけます。
菌数の考え方は、生菌数 検査をご覧ください。
1時点ではなく、時系列で測る
熟成の評価は、1回の測定では結論が出ません。
同じ原料を条件ごとに分け、複数の時点で採取して測ります。
時点ごとの値を並べると、成分が増える時期と減る時期が見えます。
温度帯を変えた比較も、同じ組み方で行えます。
お客様の熟成条件で採取した検体を、時点ごとに測定します。
試験を組むときのポイント
測定の前に決めておくと、結果が読み取りやすくなる点があります。
| ポイント | 内容 |
| 原料をそろえる | 同じロットを条件ごとに分けると、差が熟成によるものか判断しやすくなります。 |
| 採る部位をそろえる | ドリップや脂身を除いた可食部で採ると、時点間の比較がぶれにくくなります。 |
| 成分用と菌数用を分ける | 検体の扱いが異なるため、採取の段階で分けておきます。 |
| 送り方を決める | 冷凍でまとめて送るか、時点ごとに送るかは、項目に応じてご相談ください。 |
| 判断は製造者が行う | 熟成期間や商品の表示を決めるのは製造者です。当社は判断材料となるデータをご提供します。 |
食肉は、規格基準で10℃以下での保存が定められています。
熟成もこの範囲の温度で行い、温度の記録を残しておくと安心です。
食肉加工品の規格は、食肉製品の検査で解説しています。
AHCの対応範囲
| 項目 | 対応 |
| 遊離アミノ酸18種の一斉分析 | 自社で対応 |
| 核酸系うま味成分(3成分) | 自社で対応 |
| 一般生菌数 | 自社で対応 |
| カビ・酵母数 | 自社で対応 |
👥 こんな方からのご相談を承ります
- 食肉加工・食肉卸で、熟成商品を開発している方
- ジビエの処理施設で、商品の価値を高めたい方
- 飲食チェーンで、熟成メニューの根拠を持ちたい方
- 地域商社で、地域の食肉資源の商品化を進めている方
5ステップで進む検査の流れ
🏢 株式会社AHCについて
1977年創業の食品微生物検査ラボとして、食肉のうま味成分分析と微生物検査を全国対応で承ります。当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。費用は項目数と検体数により変わるため、個別にお見積りいたします。関連記事:核酸系うま味分析 / 遊離アミノ酸分析 / 生菌数 検査
まとめ
熟成肉の分析では、うま味成分と菌数を同じ時点で測ることが要です。
イノシン酸は減り、グルタミン酸は増えるため、推移を並べて見ます。
温度帯や日数の比較も、同じ組み方で行えます。
熟成条件や時点の数が決まっていなくても、ご相談いただけます。
お問い合わせフォーム、またはお電話(027-253-1515)でご連絡ください。
外部参考資料
