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アントシアニン分析|色素の定量と退色の追跡

📋 こんなご相談をよくいただきます

  • ベリー系エキスのアントシアニン量を、原料規格に合わせて確かめたい。
  • 加工中に色が褪せるので、どの工程でどれだけ減っているのかを知りたい。
  • 黒大豆・紫芋・紫キャベツの色素量を、品種ごとに比較したい。
  • 賞味期限を通して色素が保たれるか、保存試験と併せて測りたい。

アントシアニン分析は、果実や野菜に含まれる赤〜紫〜青の色素成分を定量する分析です。アントシアニンはポリフェノールの一群にあたり、ポリフェノール分析の中でも特に扱いの難しい成分として知られています。

難しさの理由は、この成分がpHと温度で姿を変えることにあります。同じ試料でも、抽出液の条件が違えば見える色が変わり、測定値も変わります。この記事では、どの場面で測るのか、測り方に何種類あるのか、値を比較するときに何を揃えるべきかを整理します。

アントシアニン分析が必要になる場面

場面 目的 必要になるデータ
原料エキスの受入検査 規格値どおりの色素量が入っているか 規格書と同じ表記での定量値
機能性表示食品の届出 関与成分の含有量を裏づける 1日摂取目安量あたりの含有量
工程での退色の追跡 加熱・充填のどこで減るかを突き止める 工程ごとの実測値(同一条件で複数点)
保存中の安定性確認 賞味期限内に色素が保たれるか 保存期間ごとの経時データ
品種・産地の比較 原料の選定根拠をつくる 同一手法での横並びデータ

このうち退色の追跡は、分析が最も効く場面です。「なんとなく色が薄い」という感覚を数値に変えると、原因の工程が絞り込めます。加熱時間なのか、pHなのか、充填時の酸素なのか、条件を変えて測れば判別できます。

アントシアニンとは何か

アントシアニンは、アントシアニジンと呼ばれる骨格に糖が結合した配糖体の総称です。骨格の種類と糖の付き方の組み合わせで、天然には数百種類が存在します。食品で主に問題になるのは6種類の骨格です。

主な骨格 色調の傾向 多く含む食品
シアニジン 赤〜赤紫 黒大豆、いちご、さくらんぼ、紫キャベツ
デルフィニジン 青紫 ビルベリー、カシス、なす
マルビジン ぶどう、赤ワイン
ペオニジン 赤紫 紫芋、さつまいも系品種
ペラルゴニジン 橙赤 いちご、ラディッシュ
ペチュニジン 青紫 ぶどう、ベリー類

分析上おさえておきたい性質は次のとおりです。

  • pHで構造が変わります。酸性では赤いフラビリウムイオン型が優勢ですが、中性付近では無色に近い形へ移ります。抽出液を酸性に保つのはこのためです。
  • 熱に弱い成分です。加熱で分解が進みます。試料の前処理でも、必要以上に加温しないことが要ります。
  • 光と酸素でも減ります。抽出後の試料を放置すると値が下がるため、抽出から測定までを速やかに進めます。
  • 共存成分の影響を受けます。糖、金属イオン、他のポリフェノールとの相互作用で見かけの色が変わることがあります。

主な分析方法

アントシアニンの測定には大きく二つの考え方があります。総量として捉える方法と、個々の成分に分けて測る方法です。目的によって選ぶものが変わります。

分析法 得られるもの 向いている場面
pH示差法 総アントシアニン量(換算値) 原料の受入、工程管理、退色の追跡
HPLC 成分ごとの個別定量値 品種の判別、原料の真正性確認、届出資料
LC-MS 構造情報を伴う同定 未知成分の推定、混入原料の調査
色差計による測色 見た目の色の数値化 官能に近い評価。成分量とは別の指標

pH示差法とHPLCの使い分け

pH示差法は、酸性とほぼ中性の二つの緩衝液で吸光度を測り、その差から総量を求める方法です。アントシアニンだけがpHで大きく色を変える性質を利用するため、褐変物質などの影響を差し引けます。手順が簡潔で再現性が高く、工程管理に向きます。

ただしpH示差法で得られるのは「シアニジン-3-グルコシド換算」といった換算値です。実際にどの成分が入っているかは分かりません。品種を判別したい、原料が表示どおりか確かめたい、といった目的にはHPLCが要ります。

値を比較するときは、必ず同じ手法で測ったもの同士を並べてください。pH示差法の値とHPLCの合計値は一致しません。手法が違う数字を並べて増減を論じると、判断を誤ります。

表示と原料規格の考え方

  • アントシアニンは栄養成分表示の義務項目ではありません。任意表示にあたります(栄養成分表示のガイド)。
  • 原料規格の表記をそのまま使います。「アントシアニン25%」と書かれた原料でも、換算の基準成分が明示されていなければ比較できません。規格書の表記を確認したうえで、同じ形式で報告します。
  • 着色料としての使用と、機能性成分としての訴求では、求められる資料が異なります。前者は食品添加物としての規格、後者は含有量の根拠が問われます。
  • 制度の詳細は消費者庁の公表資料が一次情報です。

依頼のポイントと実務

ポイント 確認したいこと
総量か内訳か 工程管理なら総量、品種判別なら個別定量
換算の基準 規格書がどの成分で換算しているか
検体の保管 送付までは冷蔵・遮光。加温や長期常温は避けてください
比較の設計 工程間で比べるなら、同じ回にまとめて測ると条件が揃います
保存試験との併用 経時での減少を見るなら、測定時点を先に決めておきます

👥 こんな方からのご相談を承ります

  • ベリー系エキス・果汁を扱う原料商社、健康食品メーカーの方
  • 紫芋・黒大豆・紫キャベツなどを使った加工食品の製造者の方
  • ジュース・ジャム・果実加工品で退色にお困りの方
  • 機能性表示食品の届出資料を準備されている方
  • 品種比較や産地表示の根拠を揃えたい方

5ステップで進む分析の流れ

STEP 1
お問い合わせ・ヒアリング
STEP 2
手法の選定とお見積り
STEP 3
検体の送付(冷蔵・遮光)
STEP 4
抽出と測定
STEP 5
試験報告書の発行

AHCの対応範囲

当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。

アントシアニンは、目的に応じて総量としての測定と成分別の定量を使い分けます。退色の追跡では保存試験と組み合わせ、測定時点を設計した上でお受けします。費用は項目数と検体数により変わるため、個別にお見積りいたします。

なお、ここで述べた性質は一般的なアントシアニンを前提とした整理です。実際の検体では、共存する糖・有機酸・金属イオンや、他のポリフェノールとの相互作用によって挙動が変わることがあります。着色料を併用している製品などは、事前にご相談ください。

🏢 株式会社AHCについて

1977年創業の食品検査ラボとして、微生物検査と成分分析を全国対応で承っています。関連記事: ポリフェノール分析 / 果実・野菜のポリフェノール / ワインのポリフェノール / 成分分析サービス

まとめ

アントシアニンは、測るたびに条件がついて回る成分です。pHで姿を変え、熱と光で減るため、同じ試料でも扱い方ひとつで値が動きます。だからこそ、比較したい対象は同じ手法・同じ回で測るのが鉄則になります。

工程での退色に悩んでいる場合、感覚で条件を変えるより、各工程の後で測って減少の場所を特定するほうが早く解決します。どこで減っているかが分かれば、打つ手は絞られます。

測定の設計についてのご相談は、お問い合わせフォームまたはお電話(027-253-1515/平日8:30〜17:30)へお願いします。

外部参考資料

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