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Atwater係数とは|食品の熱量計算の正しい使い分け

熱量(エネルギー値)は、栄養成分表示の義務5項目の筆頭です。本記事ではAtwater係数による計算方法を整理します。表示用と成分表用の違いも解説します。

熱量の計算は、栄養成分表示で最初に表示する項目です。日本では「修正Atwater法」が公定法です。具体的にはタンパク質・脂質・炭水化物にそれぞれ係数を掛けて算出します。

本記事では、修正Atwater法の計算式と特殊成分の扱いを整理します。さらに、食品表示基準と食品成分表の違いも解説します。

よくお寄せいただくご相談

  • 食品表示用の熱量を、正しい計算式で算出したい
  • 食物繊維や糖アルコールの係数の使い分けを確認したい
  • こんにゃく・藻類・きのこ類の0.5係数の適用条件を知りたい
  • 食品成分表のエネルギー値と表示値が違う理由を理解したい

Atwater係数とは|エネルギー算出の基本

3大栄養素ごとの熱量換算

Atwater係数は、1910年に米国で策定された換算係数です。具体的には3大栄養素の熱量を算出する数値です。タンパク質と炭水化物は1gあたり4kcal、脂質は9kcalとされました。

つまり、食品の主要成分の量を測れば総熱量が算出できる仕組みです。日本ではこれを基にした「修正Atwater法」が食品表示基準で採用されています。

関連する3項目の分析

熱量計算には、タンパク質・脂質・炭水化物の量が必要です。詳細はタンパク質の分析方法脂質の分析方法もあわせてご覧ください。これらは栄養成分表示の義務5項目の中核項目です。

食品表示基準の修正Atwater法|2つの計算ケース

食品表示基準では、糖質と食物繊維の記載有無で計算式が変わります。具体的には2つのケースがあります。

ケースA|糖質と食物繊維を分けない場合

糖質と食物繊維を別々に表示しない場合の計算式です。具体的には次のとおりです。

熱量(kcal) = タンパク質 × 4 + 脂質 × 9 + 炭水化物 × 4

つまり、3大栄養素にそれぞれの係数を掛けて合算します。これが最も基本的な計算式です。なお、適用に注意が必要な食品もあります。

ケースB|糖質と食物繊維を分けて記載する場合

糖質と食物繊維を別々に表示する場合は、計算が複雑になります。具体的には食物繊維に独自の係数を使います。

熱量(kcal) =

タンパク質 × 4
+ 脂質 × 9
+ (糖質 – アルコール – 有機酸 – 難消化性糖質) × 4
+ 食物繊維 × 2(または素材別の係数)
+ アルコール × 7
+ 有機酸 × 3
+ 難消化性糖質 × 個別係数

つまり、機能性訴求や強調表示が多い加工食品ではこちらの式を使います。素材ごとの適切な係数選定が重要です。

主要成分のエネルギー換算係数

食品表示基準で定められた換算係数を整理しました。

成分換算係数(kcal/g)備考
タンパク質4窒素量から算出
脂質9溶媒抽出-重量法
炭水化物(糖質)4差引き法または直接定量
食物繊維2素材により0〜2の範囲で変動
アルコール7エタノール
有機酸3酢酸・乳酸・クエン酸など

出典:食品表示基準別添、消食表第655号(平成27年12月24日)

食物繊維と難消化性糖質の個別係数

素材別係数

食物繊維は素材により係数が変わります。具体的には発酵分解性によって決まります。次の表で整理しました。

食物繊維素材係数(kcal/g)特徴
寒天0発酵分解されない
難消化性デキストリン1トクホ関与成分でも使用
グアーガム2完全に発酵分解される
その他(原則)2発酵分解率で決定

出典:食品表示基準別添

糖アルコールの素材別係数

糖アルコールも素材ごとに係数が異なります。たとえばエリスリトールは0、ソルビトールは3です。マルチトールは2です。

つまり、ノンシュガー・カロリーオフ製品の開発では係数選定が重要です。原料の種類を正確に把握する必要があります。

特殊食品の係数|きくいも・こんにゃく・藻類・きのこ類

0.5を乗じる暫定措置

難消化性有機物を多く含む食品には、特別な扱いがあります。具体的にはきくいも・こんにゃく・藻類・きのこ類です。これらは算出されたエネルギー値に0.5を乗じます。

つまり、半分のエネルギーとして表示します。消化吸収率の個人差が大きいことが理由です。なお、これは食品表示基準上の暫定措置です。

2020年版成分表との違い

2020年版日本食品標準成分表(八訂)では、この0.5係数の扱いが変わっています。具体的には他の食品と同様の計算方法に統一されました。

しかし、食品表示基準ではこの暫定措置が継続しています。検査機関は食品表示用と成分表用で計算を使い分けます。

食品表示基準と食品成分表の違い

2つの異なる計算方法

食品の熱量計算には2つの方法があります。具体的には食品表示基準(消費者庁)と食品成分表(文部科学省)です。両者は異なる計算式を使います。

つまり、栄養成分表示で使うべきは「食品表示基準の修正Atwater法」です。食品成分表のエネルギー値をそのまま使うと不適切になります。

違いの背景

食品成分表2020年版(八訂)は、より精密な計算方法を採用しています。具体的にはアミノ酸組成・脂肪酸組成・利用可能炭水化物(単糖当量)など、組成成分を使います。

たとえば食品成分表ではアミノ酸組成によるタンパク質に4を乗じます。一方、食品表示基準では窒素量から算出したタンパク質に4を乗じます。両者で値が異なります。

熱量計算の検査依頼で押さえておきたい4つのポイント

熱量計算をご依頼いただく際、結果の精度を高めるためにお伝えいただきたい情報があります。具体的には4つのポイントです。

No.ご相談・ご共有いただきたい項目お伝えいただきたい情報
1表示計画の内容糖質と食物繊維を分けるか、強調表示の有無
2使用原料の詳細食物繊維素材・糖アルコール種・有機酸の有無
3特殊食品該当の有無きくいも・こんにゃく・藻類・きのこ類の原料使用
4用途・目的栄養成分表示・カロリーオフ訴求・社内品質管理

関連する栄養成分試験との組み合わせ

熱量計算は、義務5項目の分析とセットで依頼されるのが一般的です。具体的にはタンパク質の分析方法脂質の分析方法の結果を使って算出します。

つまり、義務5項目を一括でご依頼いただくと効率的です。詳細は栄養成分表示の義務5項目もあわせてご覧ください。乳製品の場合は乳酸菌飲料の規格基準と組み合わせるケースもあります。

AHCで対応している関連試験

AHCでご相談いただける熱量計算と関連試験を整理しました。

試験項目対応可否備考
熱量計算(修正Atwater法)対応食品表示基準準拠
義務5項目セット対応熱量・タンパク質・脂質・炭水化物・食塩相当量
食物繊維定量対応酵素-重量法(プロスキー)、酵素-HPLC法等
糖類定量対応HPLC法等
有機酸定量対応HPLC法等

※具体的な対応可否は個別にお問い合わせください。

こんな方からのご相談を承っています

熱量計算は、以下のような方々からのご相談実績があります。

  • 加工食品メーカーで栄養成分表示の作成を進めている方
  • 「カロリーオフ」「カロリーゼロ」などの強調表示をご検討の方
  • こんにゃく・藻類・きのこ類を使った商品開発の方
  • 糖アルコールや難消化性デキストリンを配合した製品の方
  • 機能性表示食品で熱量の正確な算出が必要な方

ご相談から納品までの流れ

初めてご利用の方にも分かりやすい流れでご案内しています。

  1. お問い合わせ:まず、フォームまたはお電話でご相談
  2. 試験設計のご提案:次に、製品特性・表示計画をお伺い
  3. お見積もり:そのうえで、検査項目・サンプル数・納期を提示
  4. 検体送付:さらに、送付方法と必要量をご案内
  5. 試験実施・結果報告:そして、成績書を発行

AHCについて

AHCは1977年創業の食品検査ラボです。熱量計算を含む栄養成分試験を、製品特性に応じてご提案しています。義務5項目の一括ご依頼にも対応します。

具体的な検査項目・サンプル数・納期は個別見積りにてご相談ください。表示計画の段階からのご相談を歓迎します。

関連記事:栄養成分表示の義務5項目タンパク質の分析方法脂質の分析方法乳酸菌飲料の規格基準

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お電話:027-253-1515(平日 8:30〜17:30)

まとめ|熱量計算の正しい使い分け

熱量計算は、修正Atwater法が食品表示基準の公定法です。具体的には基本式と糖質・食物繊維分離式の2ケースがあります。

つまり、表示計画の内容で計算式が変わります。さらに、食物繊維や糖アルコールには素材別の係数があります。きくいも・こんにゃく・藻類・きのこ類は0.5を乗じる特別な扱いです。

食品表示基準と食品成分表は異なる計算式です。表示用には食品表示基準の修正Atwater法を使います。熱量計算でご不明な点があれば、AHCまでお気軽にご相談ください。


外部参考資料
・消費者庁「食品表示基準について」消食表第655号(平成27年12月24日)
・消費者庁「食品表示基準別添 栄養成分等の分析方法等」
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

 食品の熱量を算出するAtwater係数(修正Atwater法)を解説。タンパク質×4・脂質×9・炭水化物×4の計算式、食物繊維や糖アルコールの個別係数、特殊食品の扱いを整理。

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