📋 こんなご相談をよくいただきます
- パッケージに載せる保証分析値の根拠がほしい。
- 「総合栄養食」と表示したいが、何を測ればよいか分からない。
- OEM先から提示された数値を、第三者機関で確かめたい。
- 代謝エネルギー(kcal)の計算根拠を整えたい。
- リニューアル後のロットで、数値がぶれていないか確認したい。
ペットフード分析とは、一般成分5項目を測る検査です。具体的には、粗たんぱく質・粗脂肪・粗繊維・粗灰分・水分を測ります。この5項目が、パッケージの「成分」欄に載る保証分析値の根拠になります。ただし、人の食品とは根拠になる制度が違います。そのため本記事では、まず制度の位置づけから整理します。あわせて、試験法の選び方と代謝エネルギーの計算方法まで解説します。人の食品の表示については栄養成分表示とは(全体ガイド)をご覧ください。
ペットフード分析が必要になる場面
必要になる場面は、大きく4つに分かれます。まず、新商品を出すときです。次に、原料や配合を変えたときが挙げられます。さらに、輸入品を国内向けに表示し直すときにも必要です。そして、量販店やECから根拠資料を求められる場合もあります。
| 場面 | 目的 | 必要なデータ |
| 新商品の開発 | 成分欄の数値を確定する | 5項目+代謝エネルギー |
| 原料・配合の変更 | 表示値が保証範囲に収まるか確認 | 変更前後の比較データ |
| 輸入品の国内表示 | 海外表記を国内様式に置き換える | 国内試験法での実測値 |
| 取引先への提出 | 第三者機関の証明書を添える | 試験結果証明書 |
| 定期的な品質確認 | ロット間のばらつきを把握する | 複数ロットの実測値 |
保証分析値の5項目と不等号の意味
成分欄の数値には、それぞれ不等号が付きます。この向きには意味があります。たとえば、たんぱく質と脂質には「以上」を付けます。一方、粗繊維・灰分・水分には「以下」を付けます。つまり、栄養として確保したい成分は下限を、抑えたい成分は上限を保証する形です。
なお、保証分析値は実測値そのものではありません。あくまで、そのロットが満たすと保証できる値です。そのため、実測値には一定の余裕を持たせて設定します。
| 項目 | 不等号 | 何を見ている数値か |
| たんぱく質 | 以上 | 窒素量から換算した粗たんぱく質 |
| 脂質 | 以上 | 溶媒で抽出される粗脂肪 |
| 粗繊維 | 以下 | 酸とアルカリで処理して残る繊維分 |
| 灰分 | 以下 | 灰化して残るミネラル分の総量 |
| 水分 | 以下 | 加熱乾燥で失われる水分量 |
- 粗たんぱく質は、直接たんぱく質を測る値ではありません。窒素量に換算係数を掛けた値です。詳しくは粗タンパク質とはで解説しています。
- 粗繊維は、食物繊維とは試験法が別です。両者の数値は一致しません。食物繊維分析の3つの公定法もあわせてご確認ください。
- 灰分はミネラルの総量です。そのため、個別のミネラル量は別途分析が必要になります。
ペットフード安全法と公正競争規約の違い
ここが最もつまずきやすい点です。結論から言うと、成分の表示は法律上の義務ではありません。ペットフード安全法が義務づけているのは5項目です。名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名及び住所が該当します。つまり、成分欄はこの5項目に含まれていません。
では、なぜ多くの製品に成分が載っているのでしょうか。それは、ペットフード公正取引協議会の公正競争規約に基づくためです。この規約では、上記5項目に加えて4項目を求めます。目的・内容量・給与方法・成分の4つです。したがって、合計9項目が業界としての表示ルールになります。
| 区分 | 根拠 | 主な表示項目 |
| 法律上の義務 | ペットフード安全法 | 名称/賞味期限/原材料名/原産国名/事業者名及び住所 |
| 業界の自主ルール | 公正競争規約 | 上記5項目+目的/内容量/給与方法/成分 |
| 対象外 | 食品表示法 | 人の食品の制度。ペットフードには適用されない |
人の食品では、熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目が義務です。しかし、ペットフードの成分5項目とは中身が違います。したがって、人用の様式をそのまま流用することはできません。この違いを知らずに設計すると、あとで表示のやり直しが発生します。
主な分析方法と試験法の選び方
5項目は、それぞれ別の原理で測ります。そのため、試験法の選択がそのまま数値に影響します。とくに脂質は、抽出方法によって値が変わります。したがって、どの方法で測ったかを記録しておくことが重要です。
| 項目 | 主な試験法 | 注意点 |
| 粗たんぱく質 | ケルダール法/燃焼法 | たんぱく質以外の窒素も拾う |
| 粗脂肪 | ソックスレー抽出法/酸分解法 | 方法により抽出される量が異なる |
| 粗繊維 | 酸・アルカリ処理による重量法 | 食物繊維の公定法とは別物 |
| 粗灰分 | 直接灰化法 | 灰化温度と時間の管理が必要 |
| 水分 | 常圧加熱乾燥法 | ウェットとドライで条件が変わる |
| 可溶無窒素物 | 差引き計算 | 実測ではなく計算で求める |
可溶無窒素物(NFE)の求め方
可溶無窒素物は、いわゆる糖質にあたる部分です。ただし、直接は測りません。次のように、100から他の5項目を差し引いて求めます。
このため、5項目のどれかに誤差があると、その誤差はすべて可溶無窒素物に集まります。つまり、各項目の精度がそのまま計算値の信頼性を左右します。脂質の測定法については脂質の分析方法で詳しく解説しています。
総合栄養食の基準と代謝エネルギーの求め方
「総合栄養食」は、それだけで必要な栄養がとれることを示す表示です。したがって、表示するには栄養基準を満たす裏づけが要ります。この基準には、米国飼料検査官協会(AAFCO)の栄養基準が用いられます。犬用と猫用では基準が異なります。さらに、成長期用と成犬・成猫用でも値が変わります。
代謝エネルギーは人用の係数では計算しない
ここは見落とされやすい点です。犬と猫は、人よりも消化吸収率が低いためです。そのため、人用のアトウォーター係数をそのまま使うと過大評価になります。代わりに、修正アトウォーター係数を用います。
| 成分 | 人用(アトウォーター係数) | 犬猫用(修正係数) |
| たんぱく質 | 4 kcal/g | 3.5 kcal/g |
| 脂質 | 9 kcal/g | 8.5 kcal/g |
| 炭水化物(可溶無窒素物) | 4 kcal/g | 3.5 kcal/g |
したがって、代謝エネルギーは次の式で求めます。人用の係数との違いについてはAtwater係数とはもあわせてご覧ください。
なお、この式には実測の組成値を入れます。保証分析値を代入すると、値がずれる点にご注意ください。
ペットフード分析の依頼ポイントと実務
依頼の前に、決めておくとよい項目があります。とくに、表示に使うのか品質確認に使うのかで設計が変わります。
| 確認事項 | なぜ必要か |
| 犬用か猫用か | 栄養基準が別に定められているため |
| 目的区分 | 総合栄養食か間食かで必要項目が変わるため |
| 形状(ドライ/ウェット) | 水分測定の条件と前処理が変わるため |
| 検体量 | 5項目を測るには相応の量が必要なため |
| ロット数 | 保証値の余裕幅を決める材料になるため |
AHCの対応範囲
| 項目 | 対応 | 備考 |
| 一般成分5項目 | ✅ 承ります | 粗たんぱく質・粗脂肪・粗繊維・粗灰分・水分 |
| 可溶無窒素物・代謝エネルギー | ✅ 承ります | 実測値からの計算値として算出 |
| 微生物検査 | ✅ 承ります | 一般生菌数・大腸菌群・黄色ブドウ球菌 |
| ビタミン・ミネラルの個別定量 | ⚠️ 要相談 | 項目により対応可否が分かれます |
| 成分規格検査(有害物質・農薬等) | ⚠️ 対応範囲外 | 別途、対応可能な機関をご案内します |
当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。ただし、認定は微生物試験の3項目で取得しています。したがって、一般成分分析は認定範囲外の試験として承ります。この区別は試験結果証明書にも明記します。費用は項目数と検体数により変わるため、個別にお見積りいたします。
👥 こんな方からのご相談を承ります
- ペットフードのOEM製造を始める食品メーカーの方
- 海外製品を輸入し、国内向けに表示を作り直す方
- 手作り系・無添加系のブランドを立ち上げる方
- 既存商品のリニューアルで、数値を測り直したい方
- 取引先から第三者機関の証明書を求められた方
5ステップで進む検査の流れ
🏢 株式会社AHCについて
1977年創業の食品微生物検査ラボとして、微生物検査と成分分析を全国対応で承っています。群馬県前橋市に試験室を構え、付属家畜病院も併設しています。関連記事:粗タンパク質とは / 脂質の分析方法 / 成分分析サービス
まとめ
ペットフードの成分表示は、法律ではなく業界の自主ルールに基づきます。しかし、いったん載せた数値は保証値として機能します。したがって、実測に基づいた設計が欠かせません。
測る項目は、粗たんぱく質・粗脂肪・粗繊維・粗灰分・水分の5項目です。さらに、そこから可溶無窒素物と代謝エネルギーを計算します。このとき、犬猫用の修正係数を使う点にご注意ください。人用の係数を流用すると、カロリー表示が過大になります。
ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。お電話(027-253-1515)でも承ります。
外部参考資料
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