📋 こんなご相談をよくいただきます
- 保存料を減らしたい。ただし日持ちは落としたくない。
- 取引先から「無添加にできないか」と打診された。
- いま入れている量が適正なのか、確かめたことがない。
- 保存料を別の資材に置き換えたい。効果が同等か知りたい。
保存料 効果試験とは、保存料が効いているかを微生物で確かめる試験です。無添加のものと添加したものを並べ、菌の増え方を比べます。
配合を決めるときは、経験や資材メーカーの推奨値に頼りがちです。しかし製品ごとにpHも水分活性も違います。そのため、同じ量を入れても効きめは変わります。この記事では、試験の組み立て方と結果の読み方を解説します。
保存料 効果試験で分かること
この試験が答えるのは、次の3つです。まず、いま入れている量で菌の増殖が止まっているかどうか。次に、減らしたときにどこで効かなくなるか。そして、別の資材に置き換えても同等かどうかです。
裏を返すと、通常の保存試験ではここが分かりません。製品にたまたま菌がいなければ、菌数はゼロのまま推移します。つまり、保存料が効いた結果なのか、そもそも菌がいなかったのかを区別できません。
保存料と日持ち向上剤の違い
まず言葉を整理します。両者は目的が近いものの、法令上の扱いが異なります。
| 観点 | 保存料 | 日持ち向上剤 |
| 代表例 | ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム | グリシン、酢酸ナトリウム、ε-ポリリジン |
| ねらう期間 | 比較的長い期間の腐敗防止 | 数日から数週間の日持ち延長 |
| 使用基準 | 食品ごとに上限が定められている | 品目により異なる |
| 表示 | 用途名「保存料」を併記する | 「保存料」の併記対象ではない |
| 試験のしかた | 無添加区と比べる | 同じく無添加区と比べる |
表示のしかたは違います。しかし、効きめの確かめ方は同じです。どちらも、入れていないものと並べて比べます。
効きめは保存料だけでは決まらない
保存料は単独で働くわけではありません。実際には、いくつかの要因が重なって菌を抑えています。この重なりをハードルと呼びます。
| ハードル | 効きめへの影響 |
| pH | 酸型保存料は、酸性側で効きが強くなる |
| 水分活性 | 下げるほど菌が増えにくくなる |
| 保存温度 | 流通で逸脱すると前提が崩れる |
| 包装形態 | 酸素の有無で、増える菌が入れ替わる |
| 初発菌数 | 出発点が高いと、抑えきれない |
したがって、レシピを変えると保存料の効きめも変わります。糖度や塩分を下げた場合が典型です。水分活性が上がり、前と同じ量では足りなくなります。包装を変えた場合も同じです。この点は真空パックの検査で扱っています。
試験の組み立て方
設計の軸はひとつです。比べる相手をそろえることに尽きます。同じロット、同じ製造条件で、保存料の量だけを変えた区をつくります。
| 決める項目 | 目安 |
| 試験区 | 無添加、現行量、減量の3区が基本になる |
| 対象菌 | 腐敗菌と、製品で問題になる食中毒菌を分けて考える |
| 接種の有無 | 確実に判定したい場合は菌を接種する |
| 保存温度 | 表示温度に加え、逸脱を想定した温度も置く |
| 測定点 | 開始時と終了時に加え、途中に数点を置く |
| 測定項目 | 生菌数のほか、pHや外観も並行して記録する |
菌を接種する方法はチャレンジテストと呼ばれます。判定の考え方はそちらで詳しく解説しました。あわせてご覧ください。
無添加区は必ず置く
無添加区を省きたくなる場面があります。検体数を減らせるためです。しかし、これを外すと結論が出せません。
たとえば、添加区で菌が増えなかったとします。このとき保存料が効いたのかは分かりません。無添加区でも増えていなければ、原因は別にあります。比較の相手があって、はじめて効果と言えます。
結果の読み方と減量の判断
見るのは差です。無添加区と添加区で、菌数の推移がどれだけ離れたかを比べます。離れ方が小さければ、その保存料はほとんど働いていません。
| 結果 | 次の一手 |
| 減量しても差が変わらない | 減らす余地がある。実生産で追試する |
| 減量で急に効かなくなる | 現行量が下限に近い。維持を選ぶ |
| 現行量でも増えてしまう | pHや水分活性など、別のハードルを足す |
| 無添加区でも増えない | 製品の特性で抑えている。無添加化を検討 |
なお、試験結果は期限設定の根拠にもなります。賞味期限の設定方法とあわせて整理してください。使用基準の上限は食品ごとに定められています。減量の検討では、この範囲内で動くことが前提になります。
保存料 効果試験のご依頼について
👥 こんな方からのご相談を承ります
- クリーンラベル対応で、保存料を減らしたい開発担当の方
- 資材の値上がりを受け、配合を見直したい製造者の方
- レシピ変更後、日持ちが落ちていないか確かめたい方
- 取引先に効果の根拠を求められている品質管理担当の方
AHCの対応範囲
| 内容 | 対応 |
| 無添加区と添加区を並べた保存試験 | ✅ 承ります |
| 菌を接種する試験(チャレンジテスト) | ✅ 承ります |
| 試験設計のご相談(試験区・温度・測定点) | ✅ 事前に打ち合わせます |
| 水分活性・pHの測定 | ✅ 承ります |
| 対象菌の選定 | ⚠️ 製品と菌種により可否が変わります |
当社はISO/IEC 17025認定ラボ(PJLA L26-134)です。費用は項目数と検体数により変わるため、個別にお見積りいたします。
5ステップで進む検査の流れ
まとめ
保存料が効いているかは、入れていないものと比べて初めて分かります。したがって、無添加区を置くことが出発点になります。ここを省くと、結果を読み解けません。
そして、効きめは配合全体で決まります。pH、水分活性、包装、温度が絡み合うためです。減量や無添加化を検討するときは、まず現状を測ってください。余地があるかどうかは、そこで見えてきます。
配合の見直しでお困りの際はお問い合わせフォームからご相談ください。お電話(027-253-1515)でも承ります。
外部参考資料
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