食塩相当量は、栄養成分表示の義務5項目の最後の項目です。本記事ではナトリウム測定と換算式を整理します。減塩訴求の根拠試験まで解説します。
食塩相当量は、栄養成分表示で必須の項目です。ナトリウム量から計算で算出します。具体的には換算係数2.54を使います。
本記事では、計算式の由来とナトリウム測定法を整理します。さらに、強調表示の基準と検査依頼のポイントも解説します。
よくお寄せいただくご相談
- 食品表示用のナトリウム測定を、どの分析法で依頼すべきか判断したい
- 「減塩」「低塩」強調表示の根拠試験を相談したい
- 食塩相当量と実際の食塩量の違いを正しく理解したい
- うまみ調味料を含む食品の食塩相当量を算出したい
食塩相当量とは|ナトリウム量からの換算
食塩相当量の計算式
ナトリウム量から計算で算出します。具体的には次の式を使います。
食塩相当量(g) = ナトリウム量(mg) × 2.54 ÷ 1000
つまり、ナトリウム量をmg単位で測り、係数を掛けてg単位で表示します。これが食品表示基準の公定計算法です。
換算係数2.54の由来
係数2.54は、化学的な根拠で決まっています。具体的にはナトリウムと塩素の原子量から導出されます。
つまり、ナトリウム(Na)の原子量は約23、塩素(Cl)の原子量は約35.5です。両者の和は58.5になります。これを23で割ると約2.54になります。
計算式の意味:食塩(NaCl)1分子はナトリウム1原子と塩素1原子で構成されます。ナトリウム1gがすべて食塩由来なら、食塩量は58.5÷23≒2.54g相当となります。
「食塩相当量」と「食塩量」は別物
ナトリウム源は食塩だけではない
食塩相当量は、実際の食塩量とは違います。なぜなら食品中のナトリウムは食塩以外からも来るからです。
具体的には、グルタミン酸ナトリウム(うまみ調味料)・アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)・炭酸水素ナトリウム(重曹)などが含まれます。さらに、牛乳・野菜・食肉・魚にも天然のナトリウムが含まれます。
「食塩無添加」でもゼロにならない理由
食塩無添加製品でも、食塩相当量はゼロになりません。具体的には食材由来のナトリウムが残るからです。
たとえば牛乳や野菜には自然のナトリウムが含まれます。そのため、食塩無添加でも食塩相当量として表示されます。これが「食塩相当量」と呼ぶ理由です。
ナトリウムの主な分析法
ナトリウムの定量には複数の方法があります。具体的には食品の特性や精度要求で選択します。次の表で整理しました。
| 分析法 | 原理 | 主な適用 |
|---|---|---|
| 原子吸光光度法(AAS) | 原子化して特定波長の吸光度を測定 | 公定法、汎用性が高い |
| ICP発光分光分析法(ICP-AES) | プラズマで励起し発光線を測定 | 多元素同時測定が必要な場合 |
| ICP質量分析法(ICP-MS) | プラズマでイオン化し質量分離 | 超微量分析が必要な場合 |
| 電位差滴定(イオン選択電極) | 塩化物イオンを電位差で測定 | 食塩由来NaClが大半の食品 |
| モール法(滴定) | 硝酸銀で塩化物イオンを滴定 | 古典的、簡便な現場測定 |
出典:食品表示基準別添、日本分析機器工業会資料
分析法の選び方
食品表示用の分析には、原子吸光光度法かICP法が一般的です。両者とも食品表示基準の公定法に位置づけられます。なお、塩化物イオン経由の滴定法では、食塩以外のナトリウム塩が捕捉できません。
つまり、うまみ調味料を含む食品では原子吸光法やICP法が正確です。検査機関は食品特性に応じて方法を選びます。
食塩相当量と関連する強調表示
無塩・低塩・減塩の違い
食塩相当量の強調表示には、明確な基準があります。具体的には表示文言ごとに条件が異なります。
| 表示文言 | 基準 |
|---|---|
| 無塩・食塩無添加 | ナトリウム塩を添加していないこと(技術的目的の重曹等は例外) |
| 低塩・少塩・塩分控えめ | 食塩相当量0.3g/100g以下(食品種類で異なる場合あり) |
| 減塩・塩分カット・○○%カット | 比較対象品との差が0.3g/100g以上 + 25%以上低減 |
| 食塩ゼロ・塩分ゼロ | 食塩相当量0.005g/100g未満 |
出典:食品表示基準別表第13、消費者庁ガイドライン
強調表示は分析値が必須
強調表示には実分析値が必須です。具体的には計算値や推定値では認められません。
つまり、「減塩」「低塩」と書く場合、ナトリウム測定で根拠を確保する必要があります。さらに、比較対象品との比較も実分析値で行います。詳細は栄養成分表示の義務5項目もあわせてご覧ください。
食事摂取基準と健康訴求
日本人の食事摂取基準2020年版
食塩摂取の目標量は、厚生労働省が定めています。具体的には次のとおりです。
- 男性: 7.5g/日未満
- 女性: 6.5g/日未満
- WHO推奨: 5g/日未満
- 日本高血圧学会: 6g/日未満
つまり、消費者の減塩意識は高まる傾向です。減塩・低塩商品の市場は拡大しています。検査機関への強調表示根拠試験の依頼も増えています。
機能性表示食品との関係
機能性表示食品でも食塩相当量の表示は必須です。さらに、機能性関与成分の関係で詳細な分析が必要なケースもあります。
たとえば乳酸菌飲料の規格基準では、機能性訴求と栄養成分の両面で試験設計が必要です。
食塩相当量の検査依頼で押さえておきたい4つのポイント
食塩相当量の検査をご依頼いただく際、結果の精度を高めるためにお伝えいただきたい情報があります。具体的には4つのポイントです。
| No. | ご相談・ご共有いただきたい項目 | お伝えいただきたい情報 |
|---|---|---|
| 1 | 表示計画の内容 | 通常表示・減塩訴求・無塩表示などの予定 |
| 2 | 食品の種類と特性 | うまみ調味料・添加物のナトリウム塩使用有無 |
| 3 | 想定されるナトリウム含量 | 適切な分析法とサンプル量を選定するため |
| 4 | 比較対象品の有無 | 減塩訴求で比較基準が必要な場合 |
関連する栄養成分試験との組み合わせ
食塩相当量は、義務5項目の最後の項目です。具体的にはタンパク質の分析方法・脂質の分析方法・Atwater係数による熱量計算と組み合わせて依頼するのが一般的です。
つまり、義務5項目を一括でご依頼いただくと効率的です。さらに、ミネラル全体の分析もICP法で同時測定可能なケースがあります。
AHCで対応している関連試験
AHCでご相談いただける食塩相当量と関連試験を整理しました。
| 試験項目 | 対応可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 食塩相当量(ナトリウム測定+換算) | 対応 | 食品表示基準準拠 |
| ナトリウム定量(原子吸光法) | 対応 | 公定法、食品マトリクスに対応 |
| 義務5項目セット | 対応 | 熱量・タンパク質・脂質・炭水化物・食塩相当量 |
| 減塩訴求の根拠試験 | 要相談 | 比較対象品との同時測定 |
| ミネラル一括分析 | 対応 | Na・K・Ca・Mg等 |
※具体的な対応可否は個別にお問い合わせください。
こんな方からのご相談を承っています
食塩相当量の試験は、以下のような方々からのご相談実績があります。
- 加工食品メーカーで栄養成分表示の作成を進めている方
- 「減塩」「低塩」「塩分カット」強調表示をご検討の方
- 調味料・即席麺・冷凍食品メーカーの開発担当者
- うまみ調味料を含む製品の正確なナトリウム測定が必要な方
- 機能性表示食品で詳細な栄養成分分析が必要な方
ご相談から納品までの流れ
初めてご利用の方にも分かりやすい流れでご案内しています。
- お問い合わせ:まず、フォームまたはお電話でご相談
- 試験設計のご提案:次に、製品特性・表示計画をお伺い
- お見積もり:そのうえで、検査項目・サンプル数・納期を提示
- 検体送付:さらに、送付方法と必要量をご案内
- 試験実施・結果報告:そして、成績書を発行
AHCについて
AHCは1977年創業の食品検査ラボです。食塩相当量を含む栄養成分試験を、製品特性に応じてご提案しています。義務5項目の一括ご依頼にも対応します。
具体的な検査項目・サンプル数・納期は個別見積りにてご相談ください。
関連記事:栄養成分表示の義務5項目 ・ Atwater係数による熱量計算 ・ タンパク質の分析方法 ・ 脂質の分析方法
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お電話:027-253-1515(平日 8:30〜17:30)
まとめ|食塩相当量を正しく理解する
食塩相当量は、ナトリウム量×2.54÷1000で計算します。具体的には食品中の全ナトリウムを食塩に換算した値です。
つまり、食塩以外のナトリウム塩も含まれます。さらに、強調表示には実分析値が必須です。減塩・低塩・無塩それぞれに明確な基準があります。
食塩相当量でご不明な点があれば、AHCまでお気軽にご相談ください。
外部参考資料
・消費者庁「食品表示基準別添 栄養成分等の分析方法等」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
・東京都保健医療局「栄養成分表示ハンドブック」
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